田植え

 

父は四十年以上日記をつけており、
農作業についても、
なんの作業をいつ行ったか、
事あるごとに確認しています。
いよいよ田植えシーズンですが、
例年今月二十日ぐらいがその時期にあたっています。
地区では、
だいたい父が先頭を切り、
父のおこないを見て、
「進(父の名)が始めたから、そろそろウチも始めるか」
というような家もあるようです。

 

・代掻きにいよよ精出す父と叔父  野衾

 

PTSD

 

記憶をモチーフにした小説といえばプルーストですが、
宝のような記憶もあれば、
深い傷になって
ながくこころを苦しめる記憶もあるようです。
ベッセル・ヴァン・デア・コーク著、
柴田裕之訳
『身体はトラウマを記録する』には
「脳・心・体のつながりと回復のための手法」のサブタイトル
が付されており、
帯には、
「私たちは何よりもまず、
患者が現在をしっかりと思う存分生きるのを
助けなくてはならない」
とあります。
推薦文を寄せているジュディス・ハーマンは
『心的外傷と回復』の著者ですが、
その本の日本における訳者は中井久夫さん。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
さらに記憶について、
もうすこし知りたいと思います。

 

・ビロードを丸める如く青梅の実  野衾

 

人物再登場

 

バルザックの小説には、
ある小説で少しだけ登場する人物が、
彼の別の小説では
主要な人物として動き回るということがあります。
なので、
バルザックの小説は、
一冊独立したものとして読んでも
もちろんおもしろいけれど、
つぎつぎ読み進めると、
当時のフランス社会の人間群像が浮かび上がってくるようで、
小説読み、バルザック読みには
堪えられない面白さがあります。
さて、
いまわたしが読んでいる原稿に、
フェリックス・ド・ヴァンドネスなる人物が登場します。
このフェリックス、
バルザックの最高傑作とされている『谷間の百合』で、
モルソーフ伯夫人アンリエットに恋をし
愛を告白する青年です。
それから二十年後、
フェリックスは、
ある女性と結婚し、
すっかり中年になっています。
フェリックスは『谷間の百合』以外にも登場しますが、
とくに『谷間の百合』を読んだ者には
つよく印象付けられていますから、
その後のフェリックスがどうなったか、
それが描かれている小説ということになれば、
面白くないわけがありません。
タイトルは『イヴの娘』
戦前、一度翻訳が出たようですが、
今回はその新訳になります。
訳者は、
『バルザック王国の裏庭から――『リュジェリーの秘密』と他の作品集』
の翻訳を弊社から上梓した宇多直久さん。

 

・二羽の鳥電線の春たわみけり  野衾

 

ケツカッチン

 

YouTubeで、登美丘高校ダンス部の踊りを繰り返し見ていました。
若さがはち切れんばかりで、
すこしだけこわばりがゆるむ気がし。
ダンスの途中、
平野ノラのバブル用語がいくつか挿入されている
その中に
「ケツカッチンなんでお先にドロンさせていただきます」
というせりふが出てきます。
ケツカッチンてなんだ?
と疑問が湧きました。
お尻がカチカチに硬くなるほど疲れたから、
というような意味かと
勝手に想像しながら、
すぐに調べることをせずにいて、
けさ、
ネットで調べたら、
「後の予定が入っていて変更できない」
という意味であることを知りました。
ケツカッチンの意味を尻、
もとい、
知り、
すこしうれしくなり、
飯島耕一さんの「ゴヤのファースト・ネームは」
を思い出しました。
「何にも興味をもたなかったきみが/ある日/
ゴヤのファースト・ネームが知りたくて/隣の部屋まで駈けていた。」

 

・春が行く電車待つ間のスニーカー  野衾

 

営業再開

 

ゴールデン・ウィークを
いかがお過ごしになりましたか。
弊社は、本日より営業再開。
あたらしい春風新聞が届く予定です。

 

・ランドセル置かず見上ぐる燕かな  野衾

 

GW休業

 

秋田の八郎潟に「菜の花ロード」というのがありまして、
信号の少ないまっすぐな道の両脇に
菜の花が延々敷き詰められ、
その後ろには桜並木。
黄色、ピンク、空の青、白い雲。
自然の織り成す色の饗宴。
この時期帰省すると、
一度はそこを通ることになります。
弊社は、
4月28日(土)~5月6日(日)までGW休業とさせていただきます。
よろしくお願いいたします。

 

・昼までの田仕事まずは種を蒔く  野衾

 

寒暖

 

気温がようやく安定してきたようです。
このあいだの休日のこと、
散歩に出た折、
なんだか体がふらふらし、
変な汗が出てきたので、
そのことを家人に告げると、
「すこし厚着じゃないの?」
と言われ、
羽織っていたものとストールを外すことに。
さわやかな風を感じ、
フッと体が軽くなったようで…。
体温調節が難しい季節です。

 

・春暁や虎の血をひきのそり来る  野衾