再会

 

・鶯やけふより鳴きぬ閨の外

 

人にでなく本に。
『足の汚れ(沈澱物)が万病の原因だった』
官有謀(著)
1986年に初版が刊行されており、
増刷に次ぐ増刷で、
現在なんと100刷を超えているとか。
1986年といえば、
わたしが高校の教員をしていた時期で、
同じ陸上部の顧問だったM先生がこの本を貸してくれたのでした。
新書判のカラフルな装丁で、
カラフル過ぎて
なんとなく
B級っぽい感じがし、
M先生がせっかく貸してくれた本なのに、
ちゃんとは読まず、
斜めに読んで返した記憶があります。
鍼灸に興味がわき、
実際に施術も受けている身として
このごろ足裏が気になり始め、
この本の装丁をアマゾンで目にしたとき、
すぐに
かつてM先生が貸してくださった本であることに
気が付きました。
今度は真面目に読もうと思います。

 

・場所取りを終えてうつらと花万朶  野衾

 

花見

 

・薫り来る裏に巡りて沈丁花

 

春分の日の雪には驚かされましたが、
いよいよ春めいてきました。
日曜日のきのう、
家人とゆっくり保土ヶ谷児童遊園まで散歩。
桜も菜の花もいまが見ごろ。
これまで何度か訪れていますが、
きのうほどの人出は初めてでした。
子ども連れの若いお父さん、
並んで釣りに興じるお年寄りたち、
ブルーシートの上でお弁当を広げるグループ、
台湾出身だという女性は、
おとなしい下の息子を連れての散歩、
ウンチをしてむずかる娘に手を焼く若いママさん、
それぞれの時間が
ゆっくりと過ぎてゆきます。
往復で約一万歩。

 

・鈴のごと無音とどろく白木蓮  野衾

 

春暖

 

・花曇りブルーシートとベビーカー

 

東京神奈川のきょうの予想最高気温は15度。
もう少し暖かくなってくれるとうれしいのですが、
それは欲張りというものでしょう。
雪が降ったおとといの寒さに比べると
雲泥の差。
秋田の父はそろそろ
田仕事の準備にかかり始めているようです。
雪が融け、乾き、
道が白く見え始めると、
自転車の季節。
自転車に乗って目的もなく、
あちこち
出掛けたくなります。

 

・さくら咲く大口を開(あ)く公園のカバ  野衾

 

春分の雪

 

・灯るごと丘の斜面の桜かな

 

春分の日のきのう、
関東は雪におおわれました。
拙宅は丘の上にありますので、
朝、
窓から眺めると、
家々の屋根にうっすらと雪が積もっており、
しばらく見とれてしまいました。
東北の雪は日常ですが、
こちらに降る雪は、
たとえば忙中閑ありとでもいうごとく、
静かで
穏やかな感じもあります。
外で仕事をしている人にしてみれば、
それどころでないでしょうけれど、
ちょうど休日にあたっていましたから、
窓からの景色と
勝手な感想でした。

 

・鳥雲に追いかけ爆音の飛行機  野衾

 

亀鳴く

 

・春の海空を飲み込む鯨かな

 

春の季語に「亀鳴く」がありまして、
わたしが持っている『合本 俳句歳時記 第三版』(角川書店編)
によれば、
「春になると亀の雄が雌を慕って鳴くというが、
実際には亀が鳴くことはなく、情緒的な季語」
ということになります。
ところが、
石寒太編『よくわかる俳句歳時記』(ナツメ社)
の一口メモ欄に、
「亀は鳴かないとされていますが、
実際に飼っている方に伺うと鳴くそうです」
の説明があり、
本当のところはどうなんでしょう?
亀のことは
亀に聞くしかありません。

 

・亀鳴くといへば金沢泥亀(でえき)かな  野衾

 

若鮎

 

・春の雨訛るタクシードライバー

 

「花の咲く頃になると決まって思い出すのは、故郷のこと…」
『男はつらいよ』冒頭のセリフを思い出し、
先週この日記に書いたら
懐かしくなって
やおらDVDを取り出し
寝転がっての鑑賞となりました。
おいちゃん、おばちゃん、御前さま、
タコ社長、博、さくら、
そして寅さん、
もうみんなキレッキレのピチピチ。
啖呵売のキレのいいこと!
ほれぼれします。
若鮎のごとく
という言葉がありますが、
そんなことまで連想させられます。

 

・ひかり吸ひふくらみを増す蕗の薹  野衾

 

暖か

 

・吾をつつみ無限の風や春の丘

 

きのうは暖かかったですね。
仕事の合間にベランダに出てみれば、
ふわり、
柔らかい風が頬を撫でてゆきます。
おもわず深呼吸。
いよいよ桜の季節です。
たとえば水元公園の桜といえば寅さんで。
「花の咲く頃になると決まって思い出すのは、故郷のこと…」
渥美さんのキレのいいセリフが春を呼びます。
きょうは雨模様で
気温も
きのうほどは上がらぬようですが、
それでも最高気温17、8度といいますから、
しのぎやすい一日になりそうです。

 

・やすらけくこの一日を春の風  野衾