書こう書こうと思いながら、きょうになってしまいました。
先週の土曜日
だったと思いますが、
朝のルーティンのツボ踏み板を踏みながら外をぼんやり見ていました。
(はじめたときは、脂汗が噴き出すほど痛かったのに、
いつの間にか、
鼻唄交じりでメニューをこなせるようになりました。
継続の賜物)
海沿いならば岬のようなる丘の上の窓から
目をこらすと、
峰につらなる向こうの階段を初老の男性が上っていきます。
うっそうとする緑のなかを、ゆっくりゆっくり、
一段ずつ。
右手に持っているビニール傘を、竹刀を振るかのごとく、上下にゆっくり振りながら。
傘についた雨の滴を振り放とうとしているのか、
とも思いましたが、
傘はたたまれているし、傘の動かし方がゆっくりなので、
そのための動作とは思えません。
階段を踏みゆく歩みもゆっくりですが、
たたんだ傘の上下動もあくまでゆっくり、ゆっくり。
ただなんとなく?
あそんでる?
おとなだって遊びたくなる。
そういうこともあるよな、と、つらつら想像していて、アッ
と気がついた。
そうか。
蜘蛛の糸! 蜘蛛の糸だ!
階段の両脇は緑が鬱蒼としており、
さらに片側には木々が枝を伸ばしています。
この梅雨どき、
蜘蛛くんたちがさかんに糸を張る。
湿気を含んだ空気のなかを歩いていて、
汗をかいた首に蜘蛛の糸が触れることが間々ある。
あの感覚が俄かに思い出され、
首筋がゾワッ!
それだそれ!
万が一、蜘蛛の糸が張られていたときのことを想定し、
からだに触れるのを避けるために、
それで、たたんだ傘を上下動させているんだ!
そうにちげーねー!!
窓を開け大声を上げ、階段を上っていく人に尋ねてみたくなった。
いやいや。
尋ねるまでもなく、
もはやそれ以外に考えられない。
初老の男性は、ほどなく藪のなかへ消えていった。
・雨上がり草取りすすむ庭の陰 野衾