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日没

 

・春風や入り日山の端燃えに燃え

昇ってしまうとよくわかりませんが、
日の出、日没の太陽は、
山の端との対比から、
ものすごいスピードで現れ、
また消えていきます。
春のあけぼのはたしかにいいですが、
日没もどうしてどうして。
ホーホケホケ
と心細げに鳴いていた鶯が、
このごろやっと
ホー ホケキョ
と、
すばらしい声を聴かせるようになりました。

・鶯も入り日眺めて鳴きにけり  野衾

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よく噛んで

 

・春の日や薄曇りゆく風の場所

子どものころから、
家でも学校でも
ものを食べるときには
よく噛んで食べなさいと言われてきました。
健康志向のひとの本を読むと百回噛みなさいとか…。
百回はともかく、
よく噛むことは、
どうやらほんとに体にいいことを、
このごろ体感します。
口に入れたものが細かく砕かれることもさりながら、
噛めば噛むほど唾液が出ます。
この唾液、
おそらくひとの入口の消化液なのでしょう。
胃や腸の負担を軽減し、
消化吸収を助けているに違いありません。
そうなると、
眠りが深くなり、
朝の目覚めが違います。
みなさん、
ごはんも野菜も肉もスウィーツも、
よく噛んで食べましょう。

・春なれど豊年乳房揺れにけり  野衾

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20°

 

・チューリップ風にあおられ戻りけり

気温が二十度を超えてきました。
日によって、二十五度近くになることもあり。
こうなると、
寒がりのわたしも、
薄皮を剝ぐように
着るものを薄くしている今日このごろ。
こんなときはジレが役だつ。
着脱が楽。
ジレ。
チョッキ、ベストのことですが、
いまどきはジレと呼ぶのだと店の人に教わりました。
が、
チョッキ、ベストでいいじゃん、
と内心思いつつ。
チラシ、パンフ、フライヤーと
呼び名が変わるようなものか。

・容れ物のかたち清げやチューリップ  野衾

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お願い一つ

 

・鶯や声のみすれど姿無しホーホケホケ

匂いに過敏になっているせいか、
女性の髪の匂いにウッとなることしばし。
それが度重なると、
香料は石油から精製される
と聞いたことがあるし、
髪に石油をスプレーしている図が浮かんでき、
立ちすくみます。
世の女性のみなさん、
無香料のシャンプーとリンスにしていただけないでしょうか。

・鶯の鳴く音ゆかしき山の朝  野衾

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生きる力

 

・あと五分あと一分の朝寝かな

突風が日本列島を襲い、
秋田の実家では、
稲の種を蒔いたハウスのビニールがのきなみ剝がされ。
八十五歳の父は、
朝の三時から一睡もせず、
復旧作業に取り掛かり、
七時を過ぎてもまだ終わらない…
と、
電話口の母から聞かされた。
「生きる力をなくしてしまうよ」
父がそうぼやいたと。
近くに九つ下の弟(わたしの叔父)がいてくれるおかげで、
どんなに父の力になっていることか。
助けるの意の「助」は、
且(ショ)が積み重ねることを、
力が加えられることで、
上に力を重ねてたすけることを表す。

・朝寝してけふの予定を反芻す  野衾

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三浦衛(みうら・まもる) 春風社代表にして自慢大王&悪ノリ大王。体調のいいときは自らを天才と称し、不調の折はちりあくたにも劣るヤツとしょんぼり。

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三浦衛の本


『カメレオン』
 三人ときどき声にならぬ声を洩らし/とろけ とろけ 唾までとばし/クヂるとナメるとネヂるとチョす…(「鳶」) 自在に色を変え、不意に突き刺さる、軽妙なことばの戯れ。秋田方言満載の詩集。本文は金属活字による活版印刷。


『マハーヴァギナまたは巫山の夢』
 三平佐世夫は、千一夜の夢うつつで女と戯れ、印度に旅し、睾丸を抜かれ、鰐を飼い、横浜を彷徨う。言語の崖っぷちを綱渡りする、めくるめく冒険。本文活版印刷に美麗造本を施した平成の大奇書。


『父のふるさと』
 父の目に映じた故郷の風土、ひと、くらし、農事を、愛惜をこめ描きだす。本文は金属活字による活版印刷。「身と蓋函」に納める。


『出版は風まかせ』
 横浜の出版社「春風社」社長が本づくりと会社経営にまつわるエピソードを豊富におりまぜ、創業から10年を振り返る。