たしか小学六年生のときのこと。
ゴム動力のプロペラ飛行機をつくって飛行時間を競うじゅぎょう、
というか催しがおこなわれたことがありました。
がっこうで模型飛行機をつくるのは、じゅぎょうというより、あそびのえんちょう。
学校で仕上げられなかった生徒は、
家にもって帰って完成させてもよかったはず。
翌日、つくった飛行機をもって、
かつて中学校の校舎があった南台グラウンドまで行き、
グループに分かれ、先生の合図で、数人が晴れた空に手づくりの飛行機を放ちました。
わたしの飛行機は、可もなく不可もなくという感じで、ほどなく着地。
いちばん長く飛んだのは、
となりのクラスのNくんの飛行機。
グラウンドからはるかにそれて、緑の崖のほうまで飛んでいき、
ストップウォッチを手にした先生があわてて飛行機の着地を確認しに行きました。
Nくんと数名が、わが井川東小学校を代表して、
地区の大会へ参加しましたが、結果がどうなったか、
報告があったと思いますがおぼえていません。
わたしはといえば、
運もあるし、
ひどく悔しい思いをしたというわけではありませんでしたけれど、
じぶんのつくった飛行機がごくふつうに終ってしまったのが、
ちょっとこころのこり。
それで、
五城目町にあるおもちゃ屋まで行き、
学校でつくったものと同じ手づくりセットを購入。
家にもって帰り、意識を集中し、
ていねいにていねいにつくりました。
材料は木と竹ひごと紙ですが、飛行機の重量をできるだけ軽くするために、
木と竹ひごはろうそくの火にあて、燃えない程度に焦がすなどの念の入れよう。
薄い半透明の紙を貼って完成。
さっそく外へ出、家の裏にまわりました。
プロペラを回してゴムを巻きます。
両手を添え、ひろい田んぼに向かって飛行機を放ちます。
旋回することなく、どんどん上昇し、田んぼをつぎつぎ超えていきました。
急いで飛行機を追いかける。
このまま飛んでいったら、端っこのたんぼを超えて、
大麦のほうまで行ってしまうんじゃないか、
なんて。
そんなことまで思いながら、追いかけていくと、そうはならずに、
やがて、色づいてきた稲穂がささやく田んぼに着地。
こんなに飛んでくれてありがとう。
なっとくのいく飛行に、満足したのでありました。
・あれをしてあれもこれもと梅雨晴間 野衾