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怒涛のときが過ぎ

 

・首手腰しなふりよろし踊りかな

テレビに因幡晃(いなばあきら)がでていました。
秋田県大館市出身のシンガーソングライター。
因幡晃といえば
「わかって下さい」
「わかって下さい」といえば
因幡晃。
わたしもよく聴いたし
よく歌った。
いま歌わない。
な~んでだ?
恥ずかしいから。
あれ、青春の歌ですから。
いま思えば馬鹿みたいな話なれど、
「わかって下さい」を聴けば
痛かったし、
「わかって下さい」を歌えば
泣けた。
泣けた?
はい。
泣けて歌えませんでした。
だって青春真っ盛り!
十年前なら
痛みの名残りみたいなものがあった
気もしますが、
きのうテレビで最終フレーズまで聴いていても、
ちっとも痛くない、
ばかりか、
それよりも何よりも、
因幡晃の乱杭歯(らんぐいば)
が気になってしょうがない。
「わかって下さい」
というより、
「治して下さい」
昭和は遠くなりにけり。
ああ青春!

・太鼓打つ父赤銅に踊りかな  野衾

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文鳥飛翔

 

・階をひらりティッシュや揚羽蝶

ひかりなちゃん家でながく飼ってきて、
家族も同様だった
白い文鳥が他界しました。
下の写真は、
ひかりちゃんが前日に撮ったもの。
空の青に白が映え、
威厳があって神々しく、
かがやくいのちがまっすぐ
天に向かっているかのようです。
写真に付されたタイトルは、
「私はここにいる」
亡くなる寸前、
文鳥は大きく羽ばたき、
ついにこと切れた。
わたしは何度か会っているだけですが、
ひとの言葉は話さなくても、
ひとの言葉をよく解し、
家族に感謝し
いのちを告げ知らせ、
わたして静かに逝きました。

・川流るむかし宿場の蚊喰鳥  野衾

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写真のオーラ

 

・身を固め歩幅一尺台風過

横浜市民ギャラリーで開催されていた
みやこうせいさんの
「ルーマニア民俗写真展 もうひとつのヨーロッパ」
を見に行った際、
みやさんから直接聞いた話。
今回でなく、
東京で展覧会をした際、
目の見えない人が
三日連続で展覧会に来てくれたとのこと。
うかがえば、
みやさんの写真にオーラを感じると。
三日連続で見に来られ、
じっくりと見て
感じて、
帰りがけに写真集を買って帰られたのだそう。
見るは、
目によるだけでないことの証。

・台風過烏朝から鳴きにけり  野衾

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むま

・雲を遣りでんと居座る残暑かな

馬は「うま」ですが、
昔は「むま」でした。
万葉集にもでてきますから、
1200年以上まえ。
ところが秋田では、
県全域ではないかもしれませんが、
今でも馬のことを「むま」といいます。
父も母も「うま」とは言いません。
「むま」
正確には「んま」
逆に、
むかしむかしも「むま」と書いて
発音としては「んま」
と言っていたのではないかという気もします。
腕を組んで「んー」と唸る声を
「むむ」
と表現するように。

・葬儀場ひっそり閑の残暑かな  野衾

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ルーマニア民俗写真展

 

・雨降ってぬぐい切れずの残暑かな

写真家みやこうせいさんの
「ルーマニア民俗写真展 もうひとつのヨーロッパ」
を見に横浜市民ギャラリーへ。
伊勢山皇大神宮の裏手、
春風社からは
ゆっくり歩いて五分ほど。
ルーマニアの人びと、暮らし、伝統、風景をつたえる写真70点。
ほれぼれ見入りました。
160回ほど
ルーマニアを訪れているといいますから、
みやさん、
ルーマニアにすっかり魅せられてしまったのでしょう。
写真を通じてそれが分かる気がするし、
それを分からせてくれる写真です。
お近くの方、
いや、
遠くの方もぜひ訪ねて見てください。
すばらしい写真です。
21日(日)まで。
見終わって帰ろうとしていたら、
みやさん現れしばし歓談。
なんとも若い。
若すぎる!
ルーマニアから元気をもらっているのでしょう。
また近々行くのだとか。

・雨落とし雲切れ秋や降り来たる  野衾

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三浦衛(みうら・まもる) 春風社代表にして自慢大王&悪ノリ大王。体調のいいときは自らを天才と称し、不調の折はちりあくたにも劣るヤツとしょんぼり。

2016年8月
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三浦衛の本


『カメレオン』
 三人ときどき声にならぬ声を洩らし/とろけ とろけ 唾までとばし/クヂるとナメるとネヂるとチョす…(「鳶」) 自在に色を変え、不意に突き刺さる、軽妙なことばの戯れ。秋田方言満載の詩集。本文は金属活字による活版印刷。


『マハーヴァギナまたは巫山の夢』
 三平佐世夫は、千一夜の夢うつつで女と戯れ、印度に旅し、睾丸を抜かれ、鰐を飼い、横浜を彷徨う。言語の崖っぷちを綱渡りする、めくるめく冒険。本文活版印刷に美麗造本を施した平成の大奇書。


『父のふるさと』
 父の目に映じた故郷の風土、ひと、くらし、農事を、愛惜をこめ描きだす。本文は金属活字による活版印刷。「身と蓋函」に納める。


『出版は風まかせ』
 横浜の出版社「春風社」社長が本づくりと会社経営にまつわるエピソードを豊富におりまぜ、創業から10年を振り返る。