ある方から下駄をいただきました。二枚歯。家人から受け取りすぐ手に持ってみて、
その軽さに驚きました。
しかも、下駄の台に歯をはめ込んだものにあらず、とのこと。
見れば、たしかに境い目がありません。
せんだっての晴れた日曜日、下駄を履いていそいそと外へ出ました。
ぎごちないわたしの歩き方をうしろから見ていた家人に言われ、
鼻緒をはさんでいた足指の力をすこし抜きました。
と、
歩をはこぶたびに、
カラン、コロン、カラン、コロン、カラン、コロン。
軽みのある、かわいた、なんともいい音。
アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」のエンディング曲、
またにわかに、
かまやつひろしさんの「我が良き友よ」が口をついてでてきたり。
すぐ近くの公園まで歩き、
ベンチに腰を下ろしてあたりの風景に目をやる。さらに腕を組む。ほう、
あそこに藤棚が… 明治の文豪ミニ、
になった気分でありまして。
というようなわけで、
下駄の音に魅了されおりましたところ、
きのうの日曜日、午前中は雨もようでしたが、
午後からすっかり雨が上がり、日和下駄ならぬ下駄日和。
カランコロンと出かけましたよ。
こんどは少し脚を延ばし開いててよかったセブンまで。
アイスを買って復路にカラン。
心地よい下駄の音を聴いているうちにコロン、
俳句をはじめようと思ったきっかけも音であったと思いだしました。
あれは夏帽子にあたる雨の音でしたが。
・用もなく下駄を鳴らして梅雨晴間 野衾