ドゥルス・ポンテス

 

ポルトガルの歌手でドゥルス・ポンテスという人がいます。
彼女の名前を知ったのは、筑紫哲也が司会をつとめるテレビ番組だったでしょうか。
ポルトガルの音楽といえばファドがあり、アマリア・ロドリゲスの歌を聴き、
すごいなぁとおもっていましたが、
ドゥルス・ポンテスはその衣鉢を継ぐかとも感じられ、
テレビ画面にくぎ付けになりました。
その後CDを求め、なんどもくりかえし聴きました。
目を閉じると、そこは野外で、風の音が聴こえ、雨のしずくがほほを濡らし、
裸足が土を踏んでいる。
まさにアーシング。
大地にふれることのすばらしさを体感できる音楽だとおもいます。

 

・汽車が行く暮らしの底の濃竜胆  野衾

 

ダニー・ハサウェイ

 

世にライブ録音の音源をレコードにしたものも多くありますが、
それはそれで、スタジオ録音のものとはまたちがい、
とくべつな感じがあって好きですね。
ライブ会場へ出向くのがいちばんなのでしょうけど、
それを想像しながら、ライブ録音のレコードを聴くというのはひとつのよろこび。
ダニー・ハサウェイ(ドニー・ハザウェイが原語に近いという人もあり)
が1971年に録音し、翌年に発表した『ライブ』(LIVE)
のカッコよさったら。
音、音楽を聴くわけですけど、
ダニー・ハサウェイのものをふくめ、ライブ録音の音を聴いていると、
すべてではないけれど、雰囲気がありありとつたわってくるものがあります。
ダニー・ハサウェイの『ライブ』は、
その意味で、
わたしにとりまして筆頭といってもいいでしょう。
声にしびれ、想像のうえでの空気にしびれ、間にしびれ。
キャスケット帽をかぶった横顔のジャケット写真がまたなんともカッコよく、
似た帽子を求めたこともあったっけ。

 

・竜胆や息をひそめてレジの横  野衾

 

ピンク・フロイド 3

 

ピンク・フロイドに『ザ・ウォール』 (The Wall) というアルバムがあります。
二枚組で、ジャケットもカッコよく、これもよく聴きました。
「ザ・ウォール」壁。
ベルリンの壁は崩壊しましたが、世界にはいろいろな壁があり、目に見えるもの、
目に見えないもの。広い世界に目を向けなくても、
家族や学校にも、さまざまな壁はある。
というようなことから、このアルバムも、歌詞も相まち聴きようによって、
いろんな聴き方ができた気がします。
イメージの連鎖。観念連合。
キング・クリムゾンやピンク・フロイドやイエスや
アラン・パーソンズ・プロジェクトを聴くようになって、
それらをプログレッシブ・ロックとよぶらしいと知りました。
総じて、大掛かりな音づくり、なんとなく、
大げさな気もしましたが、
若いわたしのこころにうったえてくるものが確かにあった気がします。

 

・腰落とせそれ腰落とせの運動会  野衾

 

休刊、終刊

 

有隣堂の隔月情報誌「有鄰」が、先月第600号をもって休刊しました。
1967年(昭和42年)12月創刊といいますから、
昭和から令和にかけて57年のあいだ刊行しつづけてきたことになります。
大学を卒業し、横浜で暮らすようになってから、
伊勢佐木町にある有隣堂本店を訪れるたびに、レジのところに置いてあった「有鄰」
をもらってきたものでした。
また1949年(昭和24年)に創刊した週刊書評紙「図書新聞」が76年の時をへて、
来年3月末で終刊するとの知らせがありました。
こちらは、春風社としても、たいへんお世話になりました。
対談や鼎談の企画を好意的に取り上げてくださり、
地味な学術書の出版社の認知度を上げるのに、
計り知れない役割を果たしてくださったと感謝しています。
ありがとうございました。

 

27期目

 

弊社の創業は、1999年10月1日。
ですので、今月より27期目に入りました。人文系の学術書を中心に、
ただいま1200点ぐらいになっているでしょうか。
博士論文の書籍化をめぐって、著者のエッセーをまとめた『わたしの学術書』(2022年4月)
が好評を博し、
今月『わたしの学術書 2』も刊行されます。
それぞれの研究分野、学問間のれんけいがこれまで以上に求められています。
ながく読まれる学術書の出版をとおして、
勉強をかさね、著者と読者に喜んでもらえる本を刊行しつづけたいと思います。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

ピンク・フロイド 2

 

『原子心母』(Atom Heart Mother)ともうひとつ忘れられないのは
『狂気』(The Dark Side of the Moon)かな。
聴き返さないで書いているので、何曲目か忘れましたが、
チクタクチクタクチクタクと時をきざむ音、
と思いきや、
ジリリリリーンと目覚ましの音がひびき、心臓バクバク。
まったく、驚いたのなんの。
チキンハートのわたしにはよくないよ。
ちなみにわたしの干支は酉年。
肥やしの臭いがしてきそうな牛のジャケットの『原子心母』に対して、
『狂気』のジャケットは、
プリズムに入った光線が七色になって出ている直線のメタリックなイメージ。
そんなことも相まって、これもよく聴きました。
聴き終わるたびに、なんとなく解放感に浸った気がします。
いまは聴きません。

 

・腰落とせそれ腰落とせの運動会  野衾

 

ピンク・フロイド 1

 

ホルスタイン種かとおもわれる牛のジャケットのレコード。
なにこれ、とおもいながら、これもよくレコード店で目にしましたね。
『クリムゾン・キングの宮殿』がそうだったように、
ピンク・フロイドの『原子心母』(Atom Heart Mother)も、
興味がおもむくまでにはかなり時間がかかりました。
時間はかかったけど、
けっきょく聴いてみようと思い立ち買ったのでした。
正直なところ、
ピンときませんでした。
これってロックなの? クラシック? なに?
ま、そんな感じ。
で、聴かなくなったかといえば、そうでなく。
その後なんどか聴きました。
聴いているうちに、これって薬なのか毒なのか、効いてくるんですね。
キング・クリムゾンがわたしにとりまして美しくカッコいい音楽だとすれば、
ピンク・フロイドは、
ズンと奥にひびいてきてノスタルジーを刺激するような音楽、
そんな感じ。
ということで、牛のジャケットのレコードから始まったピンク・フロイドも、
いつの間にか、お気に入りになってました。

 

・鉢巻とステテコ走る運動会  野衾