パインアメのこと
たまに、思い出したように、飴を食べたくなって、コンビニに寄ります。
いろいろ種類が多く、袋もカラフル。
電気製品の説明書を読むように、
またクスリの効能書きを読むような具合で、
飴の袋に記されたこまかい文字を、つい読んでしまいます。
ほかから見たら、
ちょっと変なひとかもしれない。
ともかく。
よく読んで、
中にどういう種類の飴が入っているかを確認してから買う。
こんかい買ったのは、
「海のソーダCANDY」。
四種類の飴が入っています。
えらんで食べるわけではなく、袋に手を突っ込み、
指に触れたものをつまんで、ひと粒の飴ごとに包んだ小さな袋を開けて食べる。
きのうの出がけ、
袋に手を入れ、
UFOキャッチャーが持ち上げるみたいに持ち上げた二つの飴は、
ふたつとも
「塩パインソーダ味」。
めんどうなので、ふたつぶ同時に口中へ。
なつかしい!
パイナップルの甘酸っぱいこの味。
メーカーは異なりますが、
パインの味がする飴は、
すぐに、2021年7月5日に他界した装丁家の桂川潤さんを思い出させました。
装丁の仕事を多くしていただきましたが、
それ以外でも、
ウォーキングや句会に参加して下さり、
親しくつきあう時間を持つことができました。
ことばによらなくても通じ合える、
ありがたい友人でした。
三渓園から桜木町まで歩いたときだったと思いますが、
元町辺りまで歩いたときに、
桂川さんが参加者全員にパインアメを配ってくれた。
けっこうな距離を歩いた後だったので、
甘酸っぱいパインの味が、なおいっそう美味しく感じられたかもしれません。
以来、
「パインアメ」だけでなく、
ほかのメーカーのものであっても、
パインの味がする飴を食べると、桂川さんを思い出すことになります。
ひょっとしたら、
無意識に、
桂川さんと話をしたくて、
パインの味がする飴を求めているのかもしれません。
・踏み慣れし石段の艶梅雨入かな 野衾