「爪に爪なく瓜に爪あり」という言い方がありますが、たしかになぁ、
うまいこと言うなぁ、って思います。
「爪」のまん中の縦棒の下に「虫」の字の下のツメみたいなのが
チョコンとあるのがツメでなく、
ウリ。
無いのがツメ。
よって、
「爪(ツメ)に爪(ツメ)なく瓜(ウリ)に爪(ツメ)あり」。
このごろ爪が伸びるのが速くなった気がする。
そんなことはないだろう、
とも思うけど、
週に一度は爪切りで爪を切るので、
子どものころ、こんなに頻繁に切っていたかなぁ、と不審に思うことしきり。
爪って、
とくに手の爪は、ほんの少し伸びるだけで、
なんとなく気になる。
たとえば、
サイフォンでコーヒーを淹れ、ロートを洗うとき、
ガラスに指が触れた瞬間、
いやな感覚が指先にピピツと走り、
爪の存在を意識する。
ん!? と思う。
それで、また、おもむろに爪切りで爪を切ることになります。
きのうのこと、
そうやって静かに爪を切っていたら、
不意に、
先年亡くなったKくんのことを思い出した。
小学校から高校までいっしょ。
Kくんは、
とくにスポーツが得意というわけではなかった
ように記憶していますが、
野球は上手で、投げるボールがずば抜けて速かった。
仲が良かったので、
Kくんに尋ねたところ、
爪が、爪の長さがとてもだいじであることを、
こんこんと諭された。
一本一本の指先の肉と同じ高さであることが重要で、
肉よりも高くても、低くても、
いけない。
高さがちょうどであることにより、
ボールを手から離すときに回転速度が増すんだ。
へ~、
って思いました。
野球の理論にかなっているかどうか分かりませんけど、
少年だったわたしのこころをつかむには、
じゅうぶんだった。
Kくんすごい!!
キャッチボールをすることで、
彼の理論は裏づけられた気がした。
背が高く、ひょろっとしたKくんなのに、ゆっくり投げているように見えるのに、
ボールが浮き上がってくる。
いまもその姿が脳裏に焼き付いています。
*
上の文章を書いて、いったんパソコンの電源を落としたのですが、
Kくんのことを思い出していたら、
バレーボールの強烈なアタックをするKくんのすがたがよみがえりました。
Kくん、バレーボールもうまかった。
・腕まくら祖父のかたちの端居かな 野衾