魚上氷

 

七十二候は第三候。
魚上氷と書いて、うおこおりをいずる。
今週までは寒く、
きょうも寒そうですが、
来週はぜんたいてきに気温が上がり、
気象予報士の話によると、
ことしは春のおとずれが早く、
したがって、
さくらの開花も早まりそう
とのこと。
いちねんでいちばんワクワクする季節です。

 

・海に野に利休鼠の雪が降る  野衾

 

詩として読む

 

秋田魁新報のコラム「遠い風 近い風」
に詩人の佐々木桂さんが、
正法眼蔵をこれまで
なかなか読みすすめられなかったけれど、
伯母さんの死をきっかけに、
あるひとのサジェスチョンから
詩として読むことを教わり、
読みのスピードが格段に上がった
というようなことを先月26日掲載分に書いていました。
その文章が目にとまり、
正法眼蔵はもとより、
学術書を読む場合も、
意味を追いかけるだけでなく、
意味で割り切れない文の味、
行間にひそむテーマの出自をたのしむ
ということがあると思われ、
このごろ学術書を編集しながら、
そのことを意識するようになりました。

 

・故山とほく利休鼠の雪が降る  野衾

 

大統領に

 

あなたの目下(もっか)の言動は
アメリカにとってすべて宙ぶらりんの蜃気楼(しんきろう)です、
あなたは「自然」について学んでいない――「自然」が行なう政治について、
そのおおらかな度量、公正、不偏を学んでいない、
そういうものだけが合州国にはふさわしく、
そういうものに届かぬものは遅かれ早かれ
合州国から霧のように消える定(さだ)めであることを、
あなたは理解していない。

これは、
ウォルト・ホイットマンの「大統領に」
という詩で、
酒本雅之訳『草の葉』(岩波文庫中巻233ページ)
に収録されているもの。
ホイットマンは19世紀の人。
なので、
「大統領に」といってもトランプさんのことではない。
しかしトランプさんも大統領。
いまとかさねて読むのは読者の自由。
なお、上の引用、改行は岩波文庫とちがいます。

 

・寄りくるや去りゆく冬の救急車  野衾

 

木目

 

ちいさいころの思い出のひとつ。
空に浮かんだ雲が、
ライオンに見えたり犬に見えたり
熊に見えたり、
馬に見えたり、
にわとりにはあまり見えなくて、
でも、
たまに竜に見えたりで、
下校途中のポーンとしたじかんをつぶしました。
雲はだいたい
どうぶつに見えますね。
いまも
雲のどうぶつが
ゆっくり上空を過ぎていきます。
ところで木目。
こちらはどうぶつでなく、
滝だったり秋の雲だったり石を割ったときの模様だったり。
下の写真は、
フローリングの木目ですが、
秋田のいぶりがっこを切ってならべた
じょうたいに見えまして。
きゅうじつの
わたしのじょうたい。

 

・なに見てもさびしさびしや村の冬  野衾

 

夏井先生

 

木曜日はプレバトの日。
俳句のコーナーは、夏井いつき先生。
切れ味するどく
分かりやすい解説が勉強になり、
出場者たちの反応がまたそれぞれ愉快で、
毎週たのしみにしています。
その夏井先生、
プレバトだけでなく
NHKの俳句番組にもたびたび登場し、
昨年は、
紅白歌合戦の審査員にもえらばれました。
きのうのプレバトを見ていたら、
紅白歌合戦では終始ニコニコしていたとの指摘にこたえ、
「サザンとユーミンを見られて冥途のみやげができた」
と。
それを聞き、
そうか夏井先生は1957年生まれ、
サザン、ユーミンの世代だなと改めて思った次第。
きのうのプレバトも楽しかった。
中田喜子はついに名人。

 

・ふるさとも松も動くや氷柱落つ  野衾

 

ウンベラータ

 

会社に大型の観葉植物の鉢がみっつありまして、
そのひとつがウンベラータ。
明るい室内の気を吸いぐんぐん成長し、
成長し成長し、
どこまで伸びるんだろうと思って見ていましたら、
とうとう天井に
着いてしまいました。
なので、
その部分の枝をハサミで剪って、
別の鉢に挿しておいた。
世話の仕方を知らないわたしは、
しろうと考えながら、
てっぺんの芽が出るようにと、
枝についていた葉っぱをすべてカット。
それが良かったのか悪かったのか分かりません。
が、
あれから二か月ほどが過ぎ、
な、なんと
てっぺんにあった芽がひらいた!
いやぁ、
驚いたのなんの。
会社のだれかれかまわず声を掛け、
「見た?見た?これ!」
生命力の強さに感動しました。

 

・冬の陽をあつめて燃やすレンズかな  野衾

 

徒然

 

わたしのふるさと秋田では、
さびしいことを「とじぇね」といいまして、
そのことを枕にし
話したり書いたりすることがたびたびありますが、
どうやら秋田の専売特許
ではないらしく、
秋田県教育委員会による『秋田のことば』(無明舎出版)
にも
そのことの記載がたしかあったはず。
熊本では「とぜんなか」
と称することを
メールで教えてくださった方もありました。
語尾は地域によっていろいろ
変化を見せるものの、
もとの「とぜん」は徒然で、
けっこう全国展開しているようです。

 

・もの思ふやけにさびしも虎落笛  野衾