ウォークマットⅡのこと

 

数年前、まいにちつづけることで、どこというわけでなく体全体に何かいいものが
ないかと考え、いろいろ検索しているうちに出合ったのがウォークマットⅡ。
プラスチックの板にボコボコと凸型のでっぱりがあり、
それを踏み踏みするというもの。
購入したとき、いっしょに付いてきた説明書を見ながら、
裸足で板に上がったのですが、痛すぎて、動くことすらできませんでした。
説明書には11の踏み方が記されていて、
まいにち30分踏むようにするとよい、とのこと。
はじめは、30分どころか、10分踏むのにも変な汗を掻きました。
が、二か月が過ぎたころ、痛いことは痛いのですが、
なんとか30分踏んでいられるようになりました。
さらに三か月、半年とやりつづけていたら、
痛さがやわらぎ、気持ちいいぐらいにまでなりました。
秋田に帰省するときは、キャリーバッグに入れて持ち運んだりもしましたが、
その後、秋田にも一台別に購入。
この文の冒頭、数年前と書きましたが、
購入履歴をしらべてみたら、2018年の3月でした。
5年ぐらいつづけたかな、
と思っていたところ、あにはからんや、まる7年が過ぎていたことになります。
けさも踏みました。
これは官足法という考え方に沿ったグッズで、
官足法については本も出ています。
どこに効いているのか、自覚的にはよく分かりませんが、
血圧が下がったのは、
この板のおかげかなと思っています。
考えてみれば、
足の裏は、からだの端っこにあり、
そこが刺激されると、血流はきっとよくなるでしょう。
したがって、ポンプの役割をしている心臓があまりがんばらなくてもよくなる、
しろうと考えですが、そんな気がします。

 

・さみだれて山は変らず人は過ぐ  野衾

 

「ナルニア国ものがたり」

 

電車でしばらく読んでいた下村湖人さんの『次郎物語』が終りましたので、
つぎにルイスさんの『ナルニア国ものがたり』を手にとりました。

1『ライオンと魔女』
2『カスピアン王子のつのぶえ』
3『朝びらき丸 東の海へ』
4『銀のいす』
5『馬と少年』
6『魔術師のおい』
7『さいごの戦い』

ただいま、まんなかの巻にあたる第4巻『銀のいす』。
こちらの世界からあちらのナルニア国への入口はひとつでなく、
ひょんな場所から入っていけるのは、
こういう物語のたのしいところ。
また、
訳者の瀬田貞二さんが苦労して(たのしんで?)訳し名を付けたのかもしれませんが、
この物語には、
巨人ごろごろ八郎太、とか、天気てんくろう、とか、泥足にがえもん、とか、
ネーミングがユニークな登場人物がでてきて、
忘れがたいものにしてくれます。
ところで、
トールキンさんの『指輪物語』は二十代のころ、
引き込まれるようにして読んだことをおぼえていますけれど、
電車内でチョビチョビ読んでいるせいもあってか、
『ナルニア国物語』は引き込まれるように、
という感じはあまりありません。
歳をとったせいかな。
さいごまで読んだわけではありませんので、言いきることはできないけど、
この感じのまま終りそうな気もします。

 

・夏の日のとろける川の鯉ゆらり  野衾

 

昆虫の森

 

帰省の折は、だいたい弟が秋田駅までクルマで迎えに来てくれます。
ありがたいことです。
28日はちょうど父の訪問介護の日にあたっていて、
すこし時間の余裕がありましたから、途中にある公園に寄りました。
以前、弟のクルマで通ったことはありましたが、
歩くのは初めて。
土曜日のこととて、家族づれで訪れている人が多く、
秋田にこんな大勢の人がいたかな、
なんて冗談を言ったり。
中央の広場を巻くようにして、緑を浴びながらの散策。そこここに野草が花をつけ。
ちゃんと整備されていましたが、過剰な感じはなく、
ほどよく手を付けていないところがいいなぁと思いました。
と、
ペットボトルが吊るされている木の枝を弟が発見。
見れば、なかに黒いものが動いています。
藪をこいで近づき、
やぶれた穴から黒いものを取りだしました。
メスのカブトムシ。けっこう大きい。
ことし見る初のカブトムシ。
背中のこまかい毛がキラキラと野生を匂わせます。
弟は、道の反対側にある虫が好みそうな枝にカブトムシを放ちました。
あと一、二週間もすれば、
昆虫たちがつどう森になるでしょう。

 

・紫陽花や島のうへなる鳶の群れ  野衾

 

帰省

 

六月の終り、28日から30日まで秋田に帰省しました。
ことし一月に母が他界し、八月で94になる父の様子をみるために。
顔色がよくひと安心。
一時家のなかでも杖をついて歩いていましたが、
いまはその必要がなくなり、本人、それをとても喜んでいるようでした。
きのうの午前中、
父を連れだし、家の周りをゆっくり歩きました。
歩きながら目を転じれば、
山々はかたちを変えず昔のままの姿でそこにたたずんでおり。
キジが甲高いどくとくの声で鳴いています。
裏にまわれば、ちいさな蛙が池にボチャン。きれいな波紋が広がります。
あぜ道の草を刈るひとの姿がありました。機械のエンジン音が空気を震わせています。
ああ、ああ。
五月に田植えをした苗たちがぐんぐん育っています。

 

・鎌倉を巻いてひそたる四葩かな  野衾

 

貝母について

 

貝母という植物についての記述もあります。「ばいも」と読み、漢方薬のひとつで、
咳止め、痰を切る、止血、催乳、膿を出す、利尿、鎮痛など
の作用があるらしく。
そのため気管支炎、肺結核、せき、扁桃腺炎、腫れものなどの治療に用いられるのだとか。
そういうことがネットで検索するとでてくるのですが、
『和漢三才図会』には、それとはまたちがったことが書かれています。

 

貝母は悪瘡を治す。唐人はそのことを記して次のようにいう。
かつてある商人の左膊かたほねの上に瘡かさが出て人面のようであった。
別に痛くはない。
戯れに酒を人面瘡の口に滴らすと、面は赤くなる。
物を食べさせると食べる。多く食べたときは膊内の肉が脹起し、
食べさせないと一臂ひだりうでが痺しびれる。
名医がいて、諸薬・金石・草木の類を試させたが、どれも瘡にはきかない。
貝母を使用すると、
人面瘡は眉をしかめ目を閉じた。
そこで小さな葦よしの筒でその口を毀こわし貝母を注ぎ入れると、
数日で痂かさぶたとなり、遂に癒えた。
けれどもこれがどういう病かよくわからない、と。
(寺島良安[著]島田勇雄・竹島淳夫・樋口元巳[訳注]『和漢三才図会 16』
東洋文庫、平凡社、1990年、pp.197-198)

 

人の顔をした傷口って、どうなんでしょう。ホラー以外の何ものでもないわけです
けど(これに似た話を漫画で見たような気もします)、
こういう記述にたまに出くわすことがあり、
やめられなくなります。

さて、来週月曜日(30日)は都合により、「よもやま日記」をお休みします。
よろしくお願い申し上げます。

 

・ものみなが揺れて溶けだす溽暑かな  野衾

 

鎖陽について

 

江戸時代のいわば絵入り百科事典ともいうべき『和漢三才図会』でありますが、
平凡社の「東洋文庫」で18冊ありまして、
その16巻目を読了。あと二冊。ふ~
ところで、この本、
いたってまじめ、謹厳実直そのもののような書きっぷりでありまして、
それなのに、というか、だからよけいに、クスっと笑たり、
ときに爆笑してしまうこともあります。

 

『本草綱目』(草部山草類鎖陽〔集解〕)に次のようにいう。
鎖陽さよう(オシャグジタケ科オシャグジタケ)は粛州(甘粛省)や韃靼の田地
に生える。
野馬とか蛟竜の遺精が久しい年月を経て笋たけのこのように
発起したものである。
上は豊ふくらんで下方はつつましい。
鱗甲が櫛くしの目のように並び、
筋脈は連絡していて男陽によく似ている。つまり肉蓯蓉の類である。
あるいは、
里人の淫婦がこれに就合し、一たび陰気を得ると勃然として怒長する、ともいう。
土地の人は掘りとって洗って皮を取り去り、
薄く切って晒し乾して薬にする。
効力は蓯蓉に百倍する。
恐らくこれにもいろいろの種類があるのであろう。
肉蓯蓉・列当(草蓯蓉)も、
すべてが遺精から生じたものというわけでもないのである。
気味〔甘、温〕よく陰気を補い、精血を益し、
大便の通じをよくする〔燥結しないものは用いてはいけない〕。
(寺島良安[著]島田勇雄・竹島淳夫・樋口元巳[訳注]『和漢三才図会 16』
東洋文庫、平凡社、1990年、pp.143-144)

 

「遺精」とは、性行為を伴わない不随意の射精のこと。
「男陽」とは、陰茎、男根のこと。
「淫婦」とは、多情で浮気な女のこと。
「怒長」とは、血管などがふくれること。
以上の熟語をおさえておくと、だいたいの意味がつかめることになりますが、
はて、そんなの、ほんとにあるのか?
と、疑わないわけにはまいりません。でも、
なさそうでありそうなのが、なんともおもしろい。

 

・一斉に息吐く夏の交差点  野衾

 

カラス愛の本 2

 

まいにち目にしないことのないカラス、声をきかない日とてないカラスですが、
あまりに身近にいるせいか、その生態となると、ほとんど知りません。
なので、
松原始さんの『カラスの教科書』を読むと、
ほんとかなー? そんなことある?
と、つい疑ってしまいたくなる記述にたびたび出くわします。

 

カラスはよく「遊ぶ」。他の鳥も遊ぶのかもしれないが、
人間の目から見てカラスほど分かりやすく遊ぶ鳥は珍しいように思う。
先の定義を踏まえて言えば、
実生活から離れて「楽しむためだけの行動を作り出す」事ができるのかもしれない。
滑り台にしゃがみ込んで滑った、雪の上を背中で滑った、
といった観察はいくつもある。
しかもわざわざ歩いて登っては滑り降りる例が多い。
意図的にではなく滑り落ちてしまった例もあるだろうが、ワザとやってんじゃないの?
という例もしばしばある。
風乗りと言われる、風に向かって翼を広げ、フワッと浮き上がる行動も見られる。
電線からぶら下がったり、
鉄棒のようにグルンと回転して戻ったりする行動もある。
風乗りは飛行訓練とも言えるが、
ぶら下がって一回転する行動を「将来役に立つ」と主張するのは
ちょっと難しいだろう。
「そうそう、枝から落ちそうになった時便利やからね……って何でやねん!
飛んだらええやろ!」とノリツッコミを入れたくなる。
(松原始『カラスの教科書』雷鳥社、2013年、p.201)

 

ちゃんと裏付けをもった記述のようなので、そうですか、となるわけですけど、
それにしても、「電線からぶら下が」って遊んでいるカラスの図
を想像するのはたのしい。
202ページに著者のイラストがあります。

 

・夏草や昔そこまで波の音  野衾