本の旅
にんげんは、生まれてきたら死ぬことになっているので、
輪廻転生とか、霊魂不滅とか、
つまり、
にんげんは死んだらどうなるの? の疑問がついて回ることになります。
これについての古代エジプト人の考えを
ヘロドトスさんが紹介しています。
さてエジプト人のいうところでは、
地下界を支配するのはデメテルとディオニュソスの二神であるという。
また人間の霊魂は不滅で、
肉体が亡びると次々に生れてくる他の動物の体内に入って宿る、
という説を最初に唱えたのもエジプト人である。
魂は陸に棲むもの、海に棲むもの、そして空飛ぶもの、
とあらゆる動物の体を一巡すると、
ふたたびまた、
生れくる人間の体内に入り、三千年で魂の一巡が終るという。
ギリシア人の中には――人によって時代上の先後はあるが――この説を採り上げ
あたかも自説であるかのごとく唱道しているものが幾人もある。
それらの者の名を私は知っているが、
ここには記さない。
(ヘロドトス[著]松平千秋[訳]『歴史(上)』ワイド版岩波文庫、2008年、pp.276-277)
文中の、
「この説を採り上げあたかも自説であるかのごとく唱道しているものが幾人もある」
について、
訳者の松平さんは、訳注に、
「古くはオルペウス教徒、ペレキュデス、ピュタゴラスなど、
遅れてはエンペドクレスを指すものらしい。」
と記しています。
ということで、本の旅は止まず。
・夏草の香が蒸す空は鳥 野衾