「じぐ」の語源

 

秋田方言「じぐだめし(=肝だめし)」「じぐなし(=臆病者)」
の「じぐ」について、
さっそくその語源を調べてみました。
秋田県教育委員会編『秋田のことば』(無明舎出版、2000年)に、
「じぐなし」が見出し語として載っており、
その説明文が、
「「意気地なし」の第一音節が脱落し、さらに「く」と「じ」の位置が入れ替わった語」
なるほどなるほど。
スッキリ!
臆病者の意の「じぐなし」ですが、
全国分布で見ると、
青森、岩手、山形、群馬、新潟県佐渡などでは「ずくなし」、
また「怠け者」の意で「ずくなし」という土地もあり、
山形、群馬、埼玉、新潟などがそうだと。
なるほど、
やっぱり方言はおもしろい!
『秋田のことば』の「じぐなし」が載っている同じページに、
「じぐだれ」
という言葉が見出し語としてでています。
「ぐ」と「だ」のあいだに
ちいさな文字で「ん」が入っています。
(「じぐんだれ」の「ん」がとってもちいさい)
方言の表記はむずかしい!
さてこの「じぐだれ」、
意味は臆病者で「じぐなし」と同じ、
ですが、
その説明文に、
「「じくだおれ」。「じく」すなわち心棒・骨などのような中心をなすものが、
倒れて使いものにならない状態の人」とあり、
ということは、
きのうここに書いたわたしの勝手な想像、
当たらずとも遠からずだったかもしれません。

 

・エレベーター暑さ取り持つ会話かな  野衾

 

じぐ

 

八月に入りました。
大石清美さんのカレンダー今月の絵は「じぐだめし」
じぐだめしとは
肝試し(きもだめし)のことで、
秋田では、
度胸がないことを
「じぐなし」
といったりします。
ところでこの「じぐ」とはなにか?
国語辞典、古語辞典を調べてもでてこない。
中村元『広説佛教語大事典』に
じぐ【自具】という言葉がでてきます。
「自らに具足する、の意。自分の心に具足していること」
これに当てはめると、
じぐなし=自らに具足していない≒度胸がない
これかなあ?
ちょっと無理があるか。
あるいは、
中心のことを軸(じく)といいますから、
これが訛って「じぐ」
かな?
じぐなし=軸なし(中心が無い)≒度胸がない
ふむ?
会社に秋田県教育委員会編『秋田のことば』があるので、
出社したら
さっそく調べてみることにします。

 

・さざ波や鯉も日陰を恋しがる  野衾

 

ミヤタの自転車

 

中学へは自転車通学でした。
多くの生徒がそうで、
入学前に親から
あたらしい自転車を買ってもらいました。
わたしもカタログを見て
これ
と目をつけたものを買ってもらいました。
ミヤタの自転車。
艶消し黒塗りのボディが渋い!
そう思ったのでした。
天神にある自転車店は交差点の角にあり、
自転車の販売だけでなく、
修理もしてくれた。
赤ら顔のおやじさんがいつもいて、
あまり、
というか、
ほとんどしゃべった記憶はないけれど、
ガラス張りの作業場のなかで仕事をしていたっけ。
帰省するたび、
父が運転するクルマに乗って
天神を通ります。
往きに復りにひょい
と目をやると、
仕事途中のような作業場から
赤ら顔のおやじさんが不意に現れそうな錯覚を覚えます。

 

・卓上に焼き鳥ビールまずは良し  野衾

 

 

セミの死骸があちこちで目につくようになりました。
先日、
駅ホームのベンチに腰掛けたところ、
すぐ目の前にアブラゼミ
がいました。
もしや生きてやしないかと思い、
そっと触れてみましたが、
ピクリとも動きません。
ほんの数分前まで生きていたのかもしれません。
わたしは鞄から読みかけの文庫本を出し、
読み始めました。
となりに二歳ぐらいでしょうか、
ちっちゃい男の子と
その横に若い母親が座りました。
「ようちゃん、ほら、セミ」
ようちゃんと呼ばれた子は、
目の前のセミを目ざとく見つけ、
右手を伸ばして摘まもうとしました。
転瞬、
死んでいるとばかり思っていたセミがジジとバタつき、
勢いよく飛んでいきました。
ふらつくことなくまっすぐに。
快晴とまではいきませんが、
青空がホームの屋根に触れています。

 

・散髪を待つ間のテレビ猛暑告ぐ  野衾

 

むろんこ!?

 

むろんこ。
むろんこ。
あまり、というか、
ぜんぜんまったく聞いたことがない。
とわだこ、たざわこなら知っている。
ましゅうこ、しこつこも知っている。
ふじごこは山梨県か。
たらこ、すじこ、めんたいこは食べ物。
ひとの名前でさくらこなんてのも
あるにはあるが、
むろんこ、
というのは初めてだ。
もう一度、目の前の原稿をよ~っく見てみる。
「むろんこの理想とするところは…」
ふむ、
むろんこの理想。
待てよ。
あ。
そうか。
むろんこ、の理想
ではなく、
むろん、この理想か。
そうかそうか。
読点入れてくれよ。
ああびっくりした。

 

・夏蝶の来(きた)り廻りて飛び行けり  野衾

 

猛暑緩和

 

ただいま朝の五時二十八分。
このところの猛暑で、
夜もエアコンを付けたままにしていることが多く、
朝、窓を開けると、
早朝にもかかわらず
暑い空気がムッと室内に入り込み、
いそいで窓を閉めていたのに、
けさは
窓から久しぶりに涼しい風が流れこみ、
大きく息を吸い込みました。
こうでなくちゃ。

 

・張り替えて煙(けむり)抜けゆく網戸かな  野衾

 

加齢?煩悩?

 

自宅テーブルのうえに新聞がポンと載っていた。
ひょいと見る、
「性」の文字と「交」の文字が目に飛び込んできた。
なぬっ!?
新聞の見出しに使われるとは
ただごとでない。
ななめに置かれた新聞に
やおら近づき
文字に焦点を合わせてゆっくり読み下ろす。
と、
文章のタイトルは
「独自の創造性 父から子へ継承」
「交」でなく「父」であった。
似てないことはない。
がしかし、
われながら馬鹿だ。
ちなみにこの文章、
7月17日(火)朝日新聞夕刊、
樂美術館館長十五代樂吉左衞門さんの
インタビュー記事。
加齢による見間違え
(いや、煩悩による)とはいえ、
申し訳ございませんでした。

 

・アスファルト浮き歪みして蟬の声  野衾