光る十円玉

 

・紅と黄と青とみな燃える冬

 

仕事帰り
桜木町駅の川村屋を見ると、
朝の「青汁売り切れました」の赤い紙に代わり
「青汁販売中」の緑の紙が。
(青汁といっても実際は緑色をしているので紙も緑なのでしょう)
さっそく店内に入り、
自動販売機で260円のチケットを購入すべく、
千円札を投入すると、
じゃらじゃら落ちたつり銭が
光っているではないか!
ん!?
手に取ってみると、
十円玉四個に平成二十九年の文字。
川村屋のおばさんに、
「おつりが、ほら」と言って見せると、
「あら。きれいだこと。なにかいいことあるかもね」
「そうかもね」
作りたてのコインが人の手から
人の手にわたって、
手垢であんなに黒くなるかと思ったら、
それもまた驚きで。

 

・青をもて澄みわたりゆく冬の空  野衾

 

句会は楽し

 

・見上げればなんの俤冬の月

 

この日記に俳句を書くようになって
八年ぐらいになりますが、
ひとりでやっていると
どうしてもマンネリ化しがち。
句会に参加することで程よい刺激が得られ、
また、
ほかのひとの句から
いろいろ勉強させられます。
来年はもうひとつ句会が立ち上がりそうなので、
これまた楽しみ。
鮨店にて鮨を頬張りながらの句会、
なんともぜいたくなことです。

 

・小春日のこの世の果ての青さかな  野衾

 

師走

 

・フローリング埃あつまる師走かな

 

いよいよ十二月に入りました。
同じひと月なのに、
一日があっという間に過ぎていきます。
年内にここまでは終わらせようと
ふだんよりも計画的になり、
なおかつ、
ほかの月にはない賀状書き、大掃除、忘年会等もあり、
よってますます
矢のごとく時は過ぎていきます。
字の上手なひとは
賀状書きも楽しいかもしれませんが、
わたしはけっきょく
下手のままこの歳になってしまいました。
下手は下手なりに
今年も自筆で書くつもりです。

 

・痩せ猫ののそり現る冬日かな  野衾

 

気功再開

 

・小春日や書を開く音閉じる音

 

八年つづけた気功を、
ぷつっと止めていたところ、
そのせいばかりではないでしょうが、
ここんとこ
首、肩、肩甲骨の凝りがひどく、
鍼灸、マッサージもいいけれど、
そうだ気功があるじゃないかと思い出し、
朝三十分の気功を再開。
からだをくねくね動かし十五分ほどすると、
大あくびがたてつづけに出、
からだもこころも
リフレッシュするような…。
またしばらく続けてみようと思っています。

 

・小春日や隠れてしたきこともなし  野衾

 

落葉

 

・ひとつ来てまたひとつ来る落ち葉かな

 

朝、
桜木町を歩いていると、
落ち葉がくるくる舞いながら落ちてきて、
つい立ち止まって見てしまいます。
まわる速度が速いと、
その分、
下に着くまでの時間が長くなります。
竹トンボ。
一枚一枚、
無音のドラマを演じている
ようにも見え、
さらに、
地に落ちた葉を見れば、
その色の鮮やかさに見入ります。
印刷じゃ出ないなぁ。
とここで仕事モードに。
きょうから十二月。
ほほ。

 

・横浜の空ぐうるりと冬の鳶  野衾

 

最悪な客

 

・冬の日や我も歩けば句に当たる

 

タクシーの運転手もいろいろですが、
感じのいいひとだと
目的地に着くまでの短い時間、
なにとはなく話すことがありまして。
割とよくする質問が
「最低最悪な客は?」
そうすると、
これはもう100パーセントの答えが、
「もどす客」
つまり車内で嘔吐する客。
クリスマスイブの日に、
さてきょうは書き入れ時と勇んで仕事を始めたところ、
最初の客が若いカップルで、
車内の空気に温められているうちに
ふたりつぎつぎにゲロゲロゲロッピー。
そんな話を聞いたことがあります。
客に吐かれると、
その日の仕事は終了。
なぜなら、
いくら掃除しても
ゲロの臭いというものはちょっとやそっとじゃ消えません。
泣くに泣けない事情を話したら、
5000円追加でくれたのだとか。
しかし
5000円では焼け石に水、
いや、
ゲロに札なわけで、
とは言い条、
それ以上くれとも言えずあきらめたと。
仕事仕事で
人知れず苦労があります。

 

・右肩を掠めくるりの落ち葉かな  野衾

 

筑土鈴寛

 

・ほとがやの門(と)をわたり啼く千鳥かな

 

わたしの編集上の師匠は
ヤスケンこと安原顯でありますが、
ヤスケンの奥様はすてきに豪快な筑土まゆみさんでありまして、
なんどかお目にかかり、
ごちそうになったこともあります。
なんでこんな自慢をしているかといえば、
昨日小西甚一の
『梁塵秘抄考』を読んでいたら、
筑土鈴寛(つくどれいかん)の名を見つけ
目を瞠ったからです。
小西さん、
『梁塵秘抄考』の執筆にあたり、
鈴寛さんから
貴重な資料を見せてもらった
だけでなく、
いろいろ教えてもらったことを記しています。
筑土鈴寛は著名な僧侶にして民俗学者。
まゆみさんは筑土鈴寛のお嬢様。
いやほんとに、
世間は狭いなぁ。

 

・買い物を終えて後ろの寒さかな  野衾