同窓会

 

・日と風に煽られ吹き飛ぶ枯れ尾花

 

同窓会といえば、
ふつうは学校時代のひとの集まりですが、
きのう、
あることがきっかけで、
前に勤めていた出版社の同僚八人が
久しぶりに集合し、
旧交をあたためました。
そのうち三人は春風社。
弊社は十九期目に入りましたから、
ほぼ二十年ぶりに再会するひともいたわけで、
変らないわけはありません。
が、
思い出せばたいへんだった仕事も
どくとくだった社風も、
今となっては笑い話。
そういう日を迎えられたことがありがたく、
また感慨も一入。
昼からビールとワイン。
笑いが絶えず。
ああ楽しかった!
来年八十だというかつての同僚が、
日ノ出町の駅で
何度も手を上げ手を振っていた姿が
目に焼き付いています。

 

・連れ立ちて犬も見上げる冬紅葉  野衾

 

テレビを見るときは

 

・駅ホーム斜めより来る時雨かな

 

このごろ肩と首のこりがひどく、
鎖骨骨折の後遺症か
と高をくくってきましたが、
それもあるとは思いますけれど、
そうとばかりも言い切れないような。
というのは、
休日明けのこりがとくにひどく。
これは明らかに
休日の過ごし方に問題がありそう。
思い当たる節がありました。
わたしは、
寝転がってテレビを見る癖がありますが、
休日はふだんとくらべ、
テレビを見る時間が多くなる。
それがどうもよくない。
テレビを見ることが悪いのではなく、
寝転がって見るのがよくない。
そう思ったので、
きのうは、
テレビを見るときは布団の上に正座して見ました。
するとどうでしょう。
けさの肩こりはそれほどでもない。
ものを見るときは
体をまっすぐにして見る
ように、
目は鼻の横に付いているのでしょう。
ガッテンしていただけましたでしょうか?
はいガッテンガッテン!

 

・予報士の予報を知らずしぐれ犬  野衾

 

少年

 

・小春日の運動場の白き子ら

 

わが社が入っている教育会館に
くもん行くもんの公文ができ、
ときどき
子どもたちを見るようになりました。
学校の勉強のほかに
公文で勉強。
子どもは子どもでたいへん。
仕事帰りに廊下に出、
トイレの前を通り過ぎたときに、
ドアが開き、
ふと見ると、
少年が現れました。
左の鼻穴にティッシュが詰まっています。
鼻血か?
わたしに見られていることを
知ってか知らずか、
悪びれもせず、
ゆっくり静かに歩いて、
教室に戻っていきました。
がんばれ少年。

 

・ターミナルひとと車に舞ふ落ち葉  野衾

 

たこちゃん

 

・三渓園まで冬を迎へに山手より

 

季節はすっかり冬めき、
寒々したきょうこのごろであります。
会社を出ると、
そとはとっぷりと暮れ。
紅葉坂の横断歩道をわたって右に折れ、
寒さをこらえ歩いていると、
「たこちゃんでちゅかー
たこちゃんでちゅかー
そうでちゅよー
みみちゃんは
そうなんでちゅかー
ママは
ふんふんふんふん
パパはねー
おしごとなんでちゅよー
もうすぐかえりまちゅからねー
……」
思わず振り返って見てみました。
黒いダウンを着た男が
スマホを耳にぴったりとあて、
歩道を行き交う少なくない人のことなど
ものともせず、
たこちゃんでちゅかー
を連発。
わたしはといえば、
振り向いた体をもとに戻し、
うつむきながら、
たこちゃんとは、
貴子?孝子?多香子?
はたまた多貴子?多津子?民子?(それはないか)玉子?(それもないか)
たら子?(それは絶対ない)
いずれにしろ、
「た〇こ」があまりかわいくて
「たーこ」になり、
「たーこ」が短くなって「たこ」になったのだなと、
ひとり考えをめぐらし
歩いたのでした。
たこちゃんでちゅかー。
おわり。

 

・初しぐれ猿も小蓑もなかりけり  野衾

 

エアロスミス

 

・しぐれ来よ友と步かん句をつくらん

 

若いころあまり聴かなかったエアロスミス、
会社でときどきかけては、
聴くというより、
流しています。
原稿読みに疲れたり、
むしゃくしゃした気分のときなど、
エアロスミスを聴くことで、
気分を晴らします。
いま聴くと、
音づくりが大げさで、
ある種のアニメソングに思えないこともない。

 

・冬ざれの丘を越えゆく歩数(ほかず)かな  野衾

 

吟行九人

 

・冬ざれて寂しがらせよ竹の風

 

土曜日はさろう句会メンバーによる吟行。
今回はJR山手駅より三渓園まで。
あいにくの曇り空、
ときどきぽつぽつ雨まで落ちてきましたが、
それはそれで風情があり、
ほぼ一時間のコースを歩き無事到着。
持参の弁当を食したあと
ほぼ一時間、
どなたも黙して語らず
ひたすら句作。
全員二句提出の後、
園内待春軒にてコーヒーをいただきながらの
句会とあいなりました。
初参加は今代司さん。
いま・よ・つかさ?
なんですか?
新潟のお酒だそうで、
いまハマっているのだとか。
なるほど。

下の写真は吟行とは関係なく、
ほどがや千成鮨の「いちじくのワイン煮」

 

・山手より犬もお山も冬の中  野衾

 

狩野亨吉

 

・煽られて群れ飛ぶ冬の烏かな

 

狩野亨吉といえば、
江戸時代の思想家・安藤昌益を見出した人として
つとに有名ですが、
三十四歳にして第一高等学校校長、
さらに
京都帝国大学文科大学初代学長を務めながら、
早々にケリをつけ、
その後は
「書画鑑定並びに著述業」
の看板を掲げ、
書画や刀剣の鑑定などで生計を立てた
ということになっています。
このひと
秋田県大館(おおだて)の生まれ、
安藤昌益も同地の生まれ、
ちなみにわたしも秋田県出身、
なれど我が町から大館はちと遠い。
安藤昌益も狩野亨吉も
いわゆる天才の部類でしょうが、
奇人変人ぶりも相当あったように思われます。
狩野亨吉があるとき近況を尋ねられると、
きゅうきょうであると。

「近況は窮境」
韻を踏んだ、
ただのダジャレかよ。
約十万冊の蔵書を東北大学に売ったものが、
現在も狩野文庫として
同大学にあります。
近況は窮境。
野の学者の代表格。
風が吹いているようで…。
きっぷのいい変なひとがわたし好き。

 

・ハイヒール冬をかち割る高き音  野衾