共にいる喜び

 

一見、喜びは他と異なっていることと関連があるように思われます。
褒められたり賞を得たりすると、
他の人々とは違うという喜びを経験します。
人より早く走れる、人より頭がいい、人より綺麗、そのような違いが喜びをもたらしてくれます。
しかし、
こうした喜びは束の間のものでしかありません。
本当の喜びは、
私たちが他の人々と同じように脆く、
いずれは死ぬものであるところに隠されています。
それは人類の一員であるという喜びです。
友人として、仲間として、旅の道連れとして、他の人々と共にいるという喜びです。
(ヘンリ・J・M・ナウエン[著]嶋本操[監修]河田正雄[訳]
『改訂版 今日のパン、明日の糧』聖公会出版、2015年、p.63)

 

この日記『港町横濱よもやま日記』は、創業から約半年遅れて始めましたので、
二十三年がたちました。
日記とはいうものの、
このごろは、日々の記録のうち、
読んだ本のなかから、気に入ったり、気になったり、
考えさせられたりした箇所を引用し、
それにコメントを付す、
そういう文章が多くなりました。
本にかかわる仕事をしていますので、
それもありかと思い、
また、
引用していると、
著者の文体が指先を通じてこちらに浸透してきますから、
じぶんとは違うひとの文章を知るのに役立ちます。
それと、
いままで上梓した拙著の多くは、
テーマを定め、この日記に書いた文章から取り出して選びまとめたものですが、
拙著の上梓と、
それについてのありがたい評言は、
今後の方向を見定めるのに役立っています。
さてヘンリ・ナウエンのこの本からこれまで何度か引用していますが、
上で引用した文章も、
分かりやすい内容、シンプルな言葉ながら、
味わいがあり、
いろいろと考えさせられます。

 

・お品書きじつと睨んで春隣  野衾