ネヴィル・ブラザーズ

 新緑の風やにぎわう靴磨き
 このごろ、サム・クックとかドニー・ハサウェイとかオーティス・レディングとか、少し古めの歌ばかり聴いています。どの人も歌が上手いんですね。
 うまい譬えが見つかりませんが、なにかこう、こごえたこころを解凍してくれるような歌、声、とでも言ったらいいでしょうか。
 刺激的な音や音楽も悪くありませんが、こころをときほぐし、あたたかくしてくれる歌や声に感動します。エアロン・ネヴィルの声、ふわ〜となります。いいですねぇ。

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やみりがみ

 梅雨空に何の万歳クルクマ草
 家路をあるきながら、ふと、秋田のことばで「やみりがみ」というのがあるなと思った。
 たとえば、金づちで板に釘を打っていて、間違えて、自分の指を打ってしまって、アイタタタ〜ッ、となったときなどに、思わず「やみりがみ!!」と言う。
 電話で父に確認したところ、相手に言うよりも、失敗したとき、自分をののしって言う場合が多いとのこと。やみりがみ。ネットで調べても出てこない。病(やまい)の神が訛って、やみりがみ、だろうか。
 わたしの田舎では、やみりがみと言うが、ひょっとして、やめのがみ、だろうか。これだと病(やまい)の神が訛化して、そんなふうに言いそうだ。
 これとの連想で思い出したが、やめなる、というのもある。これはネットで検索すると、けっこう出てくる。使い方としては、「んがはなしだば、やめなるな」ぐらいだろうか。標準語に直すと、「あなたの話を聞いていると、頭が痛くなる(病気になる)よ、まったく」ほどの意味。

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生ゴミ

 シャキシャキと味はふ間もなく枇杷の種
 これから暑くなってくると、生ゴミの処理が大変になってきます。ゴミ収集の方はさらに大変。
 ゴミをまとめて昨夜、ベランダに出しておきました。ふと不安がよぎりましたが、まあ、大丈夫だろうと高をくくったのがいけませんでした。不安的中。
 朝、カーテンを開けると、生ゴミがこれみよがしに散らかっています。猫か烏の仕業でしょう。臭いを嗅ぎつけてか、眼でそれと見て来るのかはわかりませんが、さすがです。

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埋まる十円

 広瀬川狂った空の暑さかな
 午後、郵便局へ行きました。朝のうちの雨が上がり、清清しい空気に充ちています。
 局では他に客が二人しかおらず、用事はすぐに終わりました。入口で挨拶してくれる頬っぺの紅いおじさんは、例のごとく。ありがとうございました! あ、どうも…。
 信号が変わってスクランブル交差点を渡り始めたときです。十円玉が落ちているのが目に入りました。しゃがんで拾おうとして近づいて見たら、なんと、十円玉は道路の面にまったく同化して、ちょうど「ど根性ガエル」のような状態になっていました。
 へ〜! は〜! おもしれ〜!! なんて、感心していたら、クラクションにおどかされました。
 おっと、とっくに信号が変わっていたか。
 あの十円玉、人や車につぶされたってあんなふうになるものではありません。きっと道路工事のとき、ローラーの運転手か傍で働いていた人がたまたま落として、それがローラーでつぶされたものと思われます。
 今度、アレだけをねらって、すばやく写メールを撮るか。

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校正曜日

 蚊が一匹汗ばむ首に留まりぬ
 一日中、校正をしておりました。途中、電話をかけたり、もらったり、食事に出たり、トイレに行ったりもしますが、基本的には机に向かって校正・校閲です。
 ずっと文字を追いかけているので、家に帰って本を読む気がしなくなります。本のない生活にあこがれるのは、仕事柄かもしれません。

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本のない生活

 あやめ見て空飛ぶじゅうたん急降下
 再読しないと思われる本を次つぎ古書店に買い取ってもらっていますが、売る前に、参考のためにと思って、「日本の古本屋」やアマゾンのマーケットプレイスを検索していると、1冊が十数万するものが相当あります。これからは、そのことを踏まえて売ろうと思います。
 若い頃は本に囲まれた生活にあこがれましたが、今は、本のない生活にあこがれます。わがままですね。

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天才りなちゃん、ママになる

 粗大ゴミ初夏の空気と入れ替えに
 『わしといたずらキルディーン』の装丁について、りなちゃん姉妹の意見も聞きたくて、先日、ご自宅にお邪魔しました。すてきなお家です。
 二つの案を見せ、どっちがいいと思う? と尋ねたところ、姉妹、間髪入れず同時にピッ! 第1案の方を指差しました。第1案は会社でも圧倒的な支持を集めたものだったので、安心しました。「わしがいい!」と。
 りなちゃんのお母さんがカッターナイフ、厚紙、モノサシを用意してくださり、出力紙のトンボに当ててカットしようとしたときです。トンボは外トンボと内トンボがあるので、内トンボに当てて切ってくださいと言いました。トンボなんて言葉は、出版関係、デザイン関係の仕事についている人でもなければ、普通つかいませんからね。「こっちですか?」「いや、内側のトンボですから、こっちです…」
 そのやりとりを見ていたりなちゃんが、さもさも心配そうに、「ママ。やめたほうがいんじゃないの…」と言いました。いたわるように、優しく、教え諭すように。
 思わず、大笑いしてしまいました。どっちがママか分かりません。大笑いするわたしを、りなちゃんは不思議そうな眼で見ていました。
 りなちゃんのママに代わって、わたしが紙をカットしました。

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