ヤギ売ります

 新緑や東南の窓開け放つ
 GWに帰省した折、秋田を代表する新聞・秋田魁新報に面白い広告が載っているのを発見しました。「ヤギ売ります」。都会ではあり得ません。
 わたしは普段新聞をあまり見ない人間ですが、秋田に帰ったとなると、地元紙である秋田魁新報をまさに舐めるように、ひどいときは、午前中1回午後1回読むこともあります。帰っても、あまりすることがないということはあります。
 季節感のある地元のニュースを読むと、故郷にふれる気がしますが、今回の極めつけは、何と言っても「ヤギ売ります」。まいりました。

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鶏の糞の臭い

 ジャスミンの壁一面に匂ひけり
 『僕の解放前後 1940-1949』という韓国の翻訳本を編集しているが、著者である柳宗鎬氏の子供時代の思い出が生き生きと描かれている。韓国では有名な作家で、すでに著作集も出ている。日本語による出版は初めて。
 あげれば切りがないが、著者が少年の頃、子供達の間で流行った遊び(どこの国でも、子供たちはいつも変な遊びを発明しては、勝手にはしゃぐものらしい)があって、冬の寒いときに手の甲を激しくこすり合せて臭いを嗅ぐというもの。その臭いが鶏の糞の臭いにそっくりだというのだ。あはははは…。やった、やった!!
 わたしも子供の頃、まったく同じことをしていた。
 さっそく社員に告げて確かめたのだが、だれもやったことがないという。わたしと同学年、年齢が一つ下の武家屋敷に聞いても、やったことがないという。武家屋敷は女の子だからな。
 そういえば、アレは男の子同士の秘密めかした遊びではあった。それにしても、おかしい。秋田と韓国で共通しているとはどういうわけか。いやいや、秋田だけではないと思うよ。手の甲を激しくこすり合せて臭いを嗅ぐと、鶏の糞の臭いがするというのは、かなりインターナショナル遊び(?)のはずだ。それとも、仏教伝来のように、インドで起こった遊びが朝鮮半島を経て日本に伝わり、それがいくつかの地方で残っているということなのだろうか。あはははは…。んなこたねーだろう。でも、ゼロを発見したインド人が発明しそうな遊びではある。
 ところで、これを読んだ方、ぜひ試してみてください。手の甲同士を激しくこすり合せるんですよ。こすり合せたら、すぐに鼻のところに持っていって嗅いでみてください。時間を置いてはいけません。すぐにです。それから、濡れていてはダメです。本当は冬の寒いときが一番なのですが、それは、まあ、仕方ありません。なるべく手の甲を乾燥させた状態でおこなってください。(って、なんでそこまでして、鶏の糞の臭いを嗅がなければならないかという問題は残りますが…)

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なんみょうほうらんげきょう

 きらいなの?すきでつつくの?ことりさん
 連休を利用し秋田に帰省した折のこと。実家の居心地の良さから朝寝坊し、布団の中にいて、辺りの気配をうかがっていると、話し声が聞こえてきた。母だった。
 だれと話しているのだろうと思って、耳を澄ますと、仏壇に向かい、亡くなった祖父母に、まるで湯のみ茶碗を持ちながら話す距離に祖父母がいて話すように、話している。
 わたしが帰省したことの報告、弟が監督を務める中学女子バスケットボール部の試合のゆくえ、父の田仕事の様子など、前日あったことを日記を綴るように話している。そこに居るものとして話しているのではない。母の前に祖父母はたしかに居る。
 祈りなのか、そうでないのかは分からない。祖父母と親しく話しているだけなのかもしれない。
 翌朝、わたしはまた布団の中にいた。そろそろ母の変わったそれが聞こえてくる頃だ。
 なんみょうほうらんげきょう。………。小声でつぶやくように聞こえてきたが、お題目に続く言葉がどんな言葉かは聞き取れない。はじまりは、なんみょうほうらんげきょう。
 南無妙法蓮華経の辞書的な意味をわたしは知っている。宗派もちがうはず。でも、母のなんみょうほうらんげきょうを聞きながら、そんなことは取るに足りない、つまらないことだと思った。
 数年前から、わたしも毎朝、祖父母の写真の前で手を合わせ、そこに二人が居る者として祈るけれど、母のようにはいかない。目を開ければ、なつかしい祖父母の顔がそこにある。

目、ぐるぐる

 汝と我のちがい知ったる五月かな
 写真家の橋本さんに教えてもらった目ぐるぐる。
 朝の気功をしているときに、今日はもよおしてこないな、と感じるときがある。これも雑念にはちがいないが、まあ、仕方がない。
 気功が終わり、もよおしてこないんだけれども、一応、トイレに入る。
 便器にまたがり、背筋を伸ばし、肩の力を抜いて、教わったように、まず、目玉を上下に30回、左右に30回、この辺で、あ〜らら、(尾篭な話で恐縮!)もよおしてきます。
 さらにこんどは、目玉を時計回りに15回、時計の反対回りに15回、するとどうでしょう。今日など凄い! スットーン! だもん。
 日本軍がかつて、用を足す時間を節約するために奨励していた方法だという話も、まんざら嘘ではないのだろう。恐るべし、目、ぐるぐる!!

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新緑

 シャキシャキと莢隠元の日和かな
 いい季節になりましたねぇ。歩いていると、草木の香りが薫ってきて、ハッとします。
 きのうは、甘〜い香りに鼻がツンと刺激され、なんだこれはとキョロキョロしたら、ジャスミンが群生していました。だれかが植えたものが野生化したのでしょう。
 少し雨模様の日は、余計に草花の香りがただよってくるようです。

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ネクタイ

 ゲコゲコと宇宙の摂理を歌ひけり
 先日、アルバイトの商栄くんにネクタイをプレゼントしました。プレゼントといっても、新しいものではありません。冠婚葬祭以外、このごろわたしはネクタイをほとんどしないので、もしよかったら使ってください、というわけです。
 商栄くん、日替りでさっそくそのネクタイをしてきました。おもしろいものですね。
 商栄くんは上背もあるし、がっしりタイプで、髪の毛もふさふさ、どうみてもわたしとは似ていません。それなのに、そこに、わたしがいました。前の会社でがんばっていた当時の出来事、デタラメな生活、精神状態まで思い出しました。
 今日、また何本かプレゼントしようと思います。

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地産地消

 ひきがえるお前鳴くのは何のため
 このごろは野菜が本来保有するはずの成分が年年目減り傾向にあるそうで、そんなことが原因しているのか、どの野菜を食べても、味が薄まっているような気がします。薄味の野菜に慣れてしまっていますから余計に、帰省して食べた山菜は濃厚かつ美味至極で、山の空気と大地の気までいっしょに取り込んだような具合でした。
 まずはアイコ。アイノコと地元では言ったりします。ギンダラと煮ると美味いんですね。あくの強い山菜にはアブラののったギンダラが合います。タラではだめです。アイコとギンダラを煮ることを、わたしは祖母から教わりました。教わったというか、見ていただけですが。祖母がだれから習ったのかは分かりません。経験的に、これにはこれが合うと覚えたのかもしれません。
 父が山から掘ってきた天然物の山芋でつくったとろろ汁、美味かったぁ!! あれは、どんな高級料亭でも出せない味なんじゃないでしょうか。あれぐらい微妙な味になると、運搬の時間の作用をきっと受けるはずです。地産地消は、山菜のためにある言葉だと思いました。
 向かいの久雄さん(小学校に入る前、風邪をこじらせ高熱を出して入院したわたしを見舞ってくれました。今は長距離トラックの運転手かな。彼も山が大好きで、帰省するとすぐに山に入ります)が山から採ってきたウドを父がもらってきて、母がゴマ和えをつくりました。これまた美味い! 水分を多く含んで谷のせせらぎまで彷彿となります。素材の美味さにはどんな料理も敵いません。

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