日々の道

 

 手袋や完全防備の五十代

正月、秋田に帰省した折、
父から斎藤肇氏の詩集『日々の道』(書肆えん)を示された。
斎藤氏は一九三三年(昭和八)、秋田県井川町生まれ。
高校卒業後、地方公務に携わるかたわら、詩作を行ってきた。
日々の道は、そうしたなかで紡がれた氏の珠玉の第二詩集である。
詩は「物や経済などのくらしの表と、表裏一体である内なる“芯”は、
つまりくらしの命脈と言っていいのではないか」
と「あとがき」に記している。
詩集を一気に読むことなど稀であるが、
『日々の道』の一つ一つの言葉が身に沁みて、
巻を閉じたとき、ホーと溜め息がでた。
ふるさとにくらし、ふるさとの恩恵をまるで雫のように、
ありがたくていねいに受け留めている言葉、詩である。
感想を手紙に書いて送ったところ、
斎藤氏からありがたい手紙とともに、詩集を恵贈された。
これからも折にふれ巻をひらき、
そのたびに瑞々しいふるさとの息吹に触れることになるだろう。
ありがとうございました。

 冬不忘共刷りトンボバーコード

091213_1521~0002

夢

 

 底冷えの一日(ひとひ)稿成り空冴ゆる

このごろの休日は、秋田に関する原稿を書いています。
点でしかなかった記憶が線でつながり、
書いては考え、想像をたくましくしているうちに、
紡いだ糸がやがて面を構成していくような具合で、面白い!
土曜日、会社にお越しいただいた方は、
中学二年のとき、「二十年後の夢」として、
本を出したいと書いたのだそうですが、
春風社との縁で夢を叶えることができると、
とても喜んでおられました。
こちらこそ、そういう夢の実現に参画できることを、
心からうれしく思います。

 雪や雪稿の秋田に降りしきる

200912201240

図書館員

 

 交差点息を吹きかけ揉み手かな

写真集『九十九里浜』の写真家・小関与四郎さんの
写真集『国鉄 蒸気機関区の記録』を見たくて、
すぐそばの神奈川県立図書館閲覧課に電話しました。
このごろつくづく思います。
いい場所に会社があるなぁと。
だって、ほとんど斜め向かいが図書館なので、
まるで自分の書庫のような感覚で利用できます。
電話したら、閲覧課の女性が応対してくれました。
名前は知りませんが、顔はもう覚えていますから、
あの人かな、それともあの人かな、なんて想像しつつ、
目的の写真集があるかを尋ねました。
「書架にあるか、見てきていいですか?」
「はい。お手数をおかけします」
待つこと数分。三分は待たなかったと思います。
「はぁ。ありました。ふぅ。取り置きしておきますか? はぁ」
「あのう?」
「はぁ。なんでしょう? ふぅ」
「息が切れていません?」
「はぁ。はい。走っていってきたもので。ふぅ。すみません」
「いえ。ありがとうございます。では、あとで取りにうかがいます」
「はぁ。はい。お待ちしております。ふぅ」
ありがたかったですね。
人肌を感じるというか、
書架に急いで確かめに行ってくれた
図書館員の心意気がありがたく、うれしくなりました。
今日は小関さんに会いに千葉まで行ってきます。
なので、朝、五時起きでした。
五時起きのときの目覚ましの曲は、
オーティス・レディングの「ドック・オブ・ザ・ベイ」
ケータイは、ほんと便利です。

 改札を手袋のままスイカかな

100116_1529~0001

作文

 

 エコカーより冷気暖々エコマフラー

小学校に入ると作文の授業があり、
夏休み、冬休みには絵日記があり、
中学高校でも文を書かされ、
大学ではレポートだ卒業論文だと、
とにかく文章を書かなければならないことが
結構ありました。嫌でしたねぇ。
強制させられると、やりたくないですもん。
原稿用紙に向かって、ぼーとしているうちに、
三十分ぐらいはすぐに経ち、
そのうち、頭を掻いてみたり、
鼻くそをほじってみたり、
ほじると指先が気になり手を洗い、
すると、あら、
爪が伸びているではないかと今度は爪を切り、
あ~あ、
な~んも思い浮かばないから音楽を聴いたり、
とにもかくにも、
さっぱり身が入りませんでした。
それでも、嫌々ながら書いて、書きつづけて、
自分で意識して文章を書くようになったのが、
前の出版社勤めの頃ですから、早二十年になります。
このごろやっと、面白いなぁと思うときが、
たまにあります。
ノリで一気に書いた文章を、
後から静かに読み返し、手直ししていくと、
格好をつけて言えば、
自分と対話しているように感じるときが
ほんの時たま、あります。
好きな本を読んでいるとき、
著者と対話しているように感じられるときがありますが、
自分の文章に対して、
そんなに多くはありませんけれど、
あれに似た感じに浸っているときがあります。
それは、自己満足みたいでもありますが、
なんと言ったらいいか、
自分で書いた文章なのに、あるノリで書いた場合、
書いたというより書かされた、
そんなふうに感じられて、手直ししているうちに、
自分との対話ができていくように思うのです。
うまく言えません。
そんな感じが、このごろ面白いなぁと思います。

 手袋や顔の痒みをいかにせむ

100116_1330~0001

褒められ健康法

 

 友来たり銘酒ぺろぺろ鼬かな

♪ 去年よりずっときれいになった

という歌のフレーズがありますが、
きれいだね、可愛いね、と褒めることで、
本当にきれいで可愛くなるということがあるようです。
これは、褒められることが
美容に効果ありということですが、
褒められることは、美容だけでなく、
健康にもいいようなのです。
わたしは、つねづね褒められることが好きです。
人間、けなされるより、褒められたときのほうが、
気をつけなければならないと格言は教えていますが、
それは確かにそうだと思いますけれど、
面と向かっては照れますが、
褒められると、「ありがとう」と言われたときのように、
体のあちこちの細胞がきゅっきゅっと
活性化してくるのが分かります。
拙著『出版は風まかせ』では、
ずいぶん褒めていただき、
ありがたい手紙や葉書を頂戴しました。
ありがたいなあ、ありがたいなあ、と思うと、
食べたものの消化も良く、
尾篭な話で恐縮ですが、便通もいたって快調です。
日々の気功とあいまって、
肌も心なしかつやつやしてきたような…。
ということで、褒められ健康法。
今日もだれか褒めてくれないかなぁ。

 暖房を切りてマフラーきつく締め

100118_1612~0001

1セント

 

 屋内をマフラーきつく宴かな

昼、なじみの太宗庵に行こうとして、
デイリー・ストアの角を曲がって急な下り坂を
てくてく下りていくと、
道端になにやら光るものを発見。
ん!?
1セントコインでした。
以前、これもよく行くマイカフェの前の交差点で
道に埋まっている十円玉を見つけ、
見とれたり、道からひっぺがそうとしているうちに、
クラクションを鳴らされたことがありましたから、
今回は、まず、クルマが来ないかを確かめ、
それからおもむろにコインをひっぺがそうとしました。
おカネが落ちていると、
パブロフの犬よろしく、
無条件に拾わなければと思ってしまいます。
が、
道に埋もれたコインが、
そう簡単に剥がせるわけがありません。
ていうか、無理。
十円玉のときも思いましたが、
道路工事で、アスファルトが
まだぐにょぐにょしているときに、
だれかが落としたものでしょうね。
下の写真がそれです。

 ぺろぺろと鼬になりたる心地して

100108_1206~0001

特化した仕事

 

 冬空や星がつぶやく御殿山

先週、税理士の先生がいらっしゃいました。
年末調整の資料や、
十月からの売り上げに関する資料を提出した後、
先生といろいろお話をします。
それを、わたしは楽しみにしています。
先生は、ウチを含めて二十社ほどと付き合いがありますが、
先生に、この頃はどうですかと質問するのが習いです。
それに対して、必ず二つの仕事が上がってきます。
もちろん社名はおっしゃらず、おおよその内容です。
ひとつは機械油を、工場ごとの特殊な機械に合わせて
研究開発し製造販売している会社。
もうひとつは、日本に不法滞在している外国人が
強制送還されることになった場合、
それを専門に外国に送り届けるまでを業としている会社。
いろんな仕事があるものです。
それでも、このご時勢で大変は大変の様子。
いずれにしても、
ユニークでオンリー・ワンの仕事を目指す
必要があるということには変りありません。

 大寒のビール獺祭塩ラーメン

100116_1347~0001