共食い

 保土ヶ谷の愛ちゃん(ウチには愛ちゃんがふたりいる!)が夜店で金魚を水槽ごと買ったとかで会社に持ってきた。もうひとりの愛ちゃんは、かつて一年だか一年と半年だか金魚を飼っていたことがあるそうで、保土ヶ谷の愛ちゃんにいろいろ金魚を飼うコツを教えていた。保土ヶ谷在住でない愛ちゃん(ややっこしい)は、金魚を飼っていた頃のエピソードとしてこんな話をした。一年も飼うと金魚はずいぶんでかくなる。あとから小さい金魚を買ってきて同じ水槽に入れ、ひと晩寝て起きたら、あ〜らら、小さい金魚がいない。大きい金魚が小さい新入りの金魚を食ったのだ、云々。
 それでおいらも思い出した。秋田の家の裏に池がある。いまは半分ほどの大きさになったが、もともとはその倍あった。子供の目から見ればどっぷりとした大きな池だった。一年に一度お盆の頃になると父が池を掃除した。子供のぼくと弟はしゃがんで特長(とくべつ長い長靴だから特長、とくなが)姿の父の様子を見ていた。あるとき父は、鯉の数が減っていることを発見! 不審に思った父はさらに池を浚いながらそのわけを知る。訊けば、ナマズに食われたということだった。
 わたしはナマズを食ったこともある。が、どでかいオタマジャクシのようなふてぶてしい顔が目に浮かび、お世辞にも美味いとはいえなかった。