風通し

 鎖骨を折ったせいで何かと不自由になったが、悪いことばかりではない。自分にとってこれは大事な節目かなと思う。せっかくこんなふうに思えるのだから、思うだけでなく、積極的に実践しようと考え実行することにした。何をしているのか。身辺整理。要するに、いろんなものを捨て始めている。
 今までと違った目で自分の部屋を眺めているうちに、それってどうなの? という気がしてきて、本当にこれって必要なの? とみずからに問いかけ、要らぬ要らぬ、えーい、捨てちまえ! ということになってきた。
 たしかポール・オースターの小説に、本を重ねた上にベッドが置いてあり、読み終えた本から順番に処分していく話があったと思うが、気分はどうもそんな感じ。だいたい今まで、一度読んだ本を読み返したことなど何回あったか。そう考えると、本棚に並んだ背文字を見て自己満足に浸っているだけのような気もしてくる。
 とにかく要らないものを捨てて風通しをよくしたい。事務所を自宅から引越し、自宅を自宅として使うようになった時にずいぶん広く感じたものだが、いつのまにか物が増え、垢のようになってしまった。今日はゴミの日、さて何を捨てようか。