A Time 2 Love

 スティービー・ワンダーの新譜が遅れている。そんなに熱心に待っているわけではないわたしがヤキモキしているのだから、熱心に待っているファンの気持ちはいかばかりだろう。
 『インナーヴィジョンズ』『ファーストフィナーレ』『キーオブライフ』(このラインナップ! 無敵!)のヒット作を立て続けに出した頃がやはりピークなんだろうけど、その後もずっと好きで聴いている。あのシャウトする声に武者震いしたものだ。わけもなく、よしがんばろう! という気になった。テレビで初めて見たとき、まばたきするのも惜しいぐらいな気合で見ていたっけ。今は亡き祖母がテレビのスティービーを見て「がんばるふと(秋田弁で「ひと」のこと)だねぇ〜」と言ったのもなつかしい。
 「アナザー・スター」あれ、弱いのよ。いや、曲が弱いのじゃなく、あれを聴いたときのおいらのことで。『キーオブライフ』に入っているのだが、聴くたび、井戸の底の方からグワッと感動が湧いてきて涙したものだ。今はさすがにそんなことはない。でも、井戸の底の底のほうで感動の鈴(ク〜ッ! 臭)が小さく震えるのは相変わらず。新作『A Time 2 Love』、かの名曲「スーパースティション(迷信)」風のものも入っているというから楽しみ。ヤキモキしながら待つことにしよう。