春風馥麗蘭

 

空海が編纂した『文鏡秘府論』のなかに、

 

秋露香佳菊  春風馥麗蘭

 

の詩が取り上げられています。

「秋露 佳菊(かきく)を香ぐはしくし

春風 麗蘭(れいらん)を馥(かを)らしむ」

 

具体的な文学論ながら、
論を展開するにあたって取り上げられる詩は、
しろうと目に、わかりやすいものもあり、
これはその一つ。
興膳宏さんの注によれば、
詩題撰者とも未詳とのこと。
それもまたよし。
みじかいものだし、語調もいいので、
春風にちなむ詩として覚えておきたいと思います。

 

・見晴るかす遠山桜歩歩の石  野衾