不要不急の味

 

急ぐ必要のない、という意味の「不要不急」ですが、
先だって、NHKのニュース番組で、
たしか
「不要不急の場合をのぞく外出は控えるように」
みたいなことを言って、
あれ!?
てことは、
二重否定だから、
どうでもよくはない外出=緊急の外出
ってことになるのでは?
と思っていたら、
「さきほど「不要不急」の使い方が間違っていました。ただしくは~」
って訂正していました。
それはともかく。
弊社では三紙をとっていますが、
内館牧子さんと養老孟司さんが別々の新聞で、
同趣旨のコメントを開陳していました。
内館さんいわく、
「この状況下、人間の生活を豊かにする行動の多くは不要不急であることに気づいた」
養老さんいわく、
「いま起きていることを頭で考えるのではなく、体で感じてほしい。
芸術や文化が、どれほど生活する上で大切なものか」
弊社のなりわいとも関連しますが、
人文系の学問は、
文化と芸術に資するものであり、
役に立つ、立たない、のモノサシだけでは測れません。
四歳から知っている近所のりなちゃんは、
今月から大学生ですが、
小さいころから
「特別感」ということばをよく口にしていました。
このことばもこの時期噛みしめています。
不要不急と特別感。
内館さんは記事の最後に、
こう記しています。
「来年になっても再来年になっても今の暮らしが続くなら、何のための人生か」
と。
記事の見出しは「今は家にいよう」

 

・ふるさとの俯く影に初音かな  野衾