記憶を正す

 

昨日、子ども時代の思い出として、
『黒馬物語』のことをここに書きましたが、
それを読んだ弟からメールが届き、
その内容に驚きました。
わたしはあの本を、
学校の図書室から借りだしたものとばかり思いこんでいましたが、
弟が言うには、
その記憶はどうやら間違っていて、
あれはずっと家にあったもの、
わたしは読まなかったけれど、
弟は何度か読んだというのです。
だれが買ってくれたかまでは覚えていないようでしたが、
実際に読んだというのですから、
信憑性が高い。
親が買ってくれたのか、
弟が言うように、
叔父か叔母が買ってくれたのか、
また、
わたしが買ってもらったのか、
さいしょから弟に与えられたものであったのか、
今となっては深い霧のなか。
しかし、
言い訳めきますが、
霧に包まれた景色がぼんやりと、
やさしくのちのちまで印象に残るように、
ハッキリしないところのある記憶は、
思い出すごとに
こちらを包んでくれるようにも思います。
にしても。
そうか。
あれは、借りた本ではなかったか。

 

・たづねきて風光る藪中の滝  野衾