きょうの一日

 

アリストテレスの『ニコマコス倫理学』を読みながら、
快楽について、欲望について、友愛について、徳について、幸福について、
いろいろと考えさせられました。
とても2400年も前に生まれた人の書いたものとは思えません。
たしかに、
奴隷についての見方など、
アリストテレスといえども、
その時代の価値観から逃れることはできなかった
わけですが、
しかし、
それもまた、
アリストテレスもわたしたちと同じ、
神でない人間であることの証であると静かに観想されます。
放射能と新型コロナウイルス、
どちらも目に見えず、
また、
こんな状況になっても
我欲としか思えぬ呆れる対策しか打ち出せない
リーダーたちの体たらくを目の当たりにし、
それだけではない、
人間という動物が本来持っているはずの高邁と崇高に
すこしでも触れながら、
きょうの一日を過ごしたい。

 

・忘れたき嘘もありけり春の虹  野衾