本棚

 

 早朝の窓開け放つ春の音

大きな本棚を二つ持っていまして、
一つは、
大学に合格したときに叔父さんが作ってくれたもので
極めて頑丈。
もう一つは既製品で、
このごろ横に這わした板が本の重さで撓み、
いかにも不恰好。
なんだか悲鳴を上げているようにも見えます。
こんな感じ。

IMG_0001

なので、下に撓んだ横板を外し、
反対に置いてみました。
そうしたら、
こんな感じになりました。

IMG_0002ただ、難点がないわけではありません。
板の四隅に小さなドーム型というか
半球の穴が掘られていて、
それが縦板に差し込まれているネジに
ピタッと合うようになっていたのが、
板を反対にすることにより、
四つのネジの上に
板がただ乗っかっているだけの状態になりますから、
不安定といえば不安定です。
でも、本の重みで押さえられるから、
ま、いいかと。
これでしばらく様子を見ようと思います。
電子書籍だと、
こんな苦労はないわけだな。

 冴え返る群青の空鳶の声

110205_1602~02

百円ライター

・水温み愉しきことを待つ日かな

和室に簡易仏壇がありまして、
毎朝水を替え、正座して手を合わせます。
簡易といってもまだ足りないぐらいで、
仏壇でない箱を仏壇とし、
小さな額に入った祖父母の写真を飾り、
仏具屋で買ったこれまた小さな鉦があるのみ。
線香立ては、
施設の生徒が作った手捻りの器をそれとして使い、
近所で拾ってきた土を入れています。
線香は三種類置いてあり、
その日の気分で替えることにしています。
さて、
線香に火を着ける段になり困るのは、
このごろなかなか火が着かないこと。
百円ライターですが、
オイルはまだ残っており、捨てるにはもったいない。
なんとか使い切りたいと思ってカシュッ!カシュッ!
十遍ほど繰り返すと、
親指の腹が擦れて白くなり、痛くもなってきます。
しばらく休み、
ライターを思いっきり振ってみたり、
+と-の目盛りが付いているツマミを移動させたりし、
気持ちを切り替えて、カシュッ!
着くこともあれば、
それでも駄目なこともあり。
そのうちだんだん、
火の着かぬライターを我が身に置き換え、
祖父母に手を合わせることよりも、
ライターの火よ点れと必死になっている自分に気づきます。
歳をとることは、
しょっぱくなることでもあるけれど、
着火しづらくなることでもあるなあと独り感じ入ったり…。
うんうん。
クソッ! どうだ! カシュッ!
着いたー!!
って、この姿を見て、祖父母はなんと思うだろう。

・水温み飴色の下鮠泳ぐ

HI3H00100001

書評ありがたし!

 

 早春のさざなみ耳を澄ましたり

神奈川新聞の「かながわの本」のコーナーに、
『父のふるさと 秋田往来』が取り上げられました。
コレです。
ありがたし!
本にする原稿を書きながら、
いろいろ気づくわけですが、
本になった後、
読んでくださった方の書評や感想を拝見すると、
自分では気づかなかったことを教えられ、
本当にありがたいことだと思います。

今日の写真は、阿仁スキー場。昌子さん提供。
昨日のかわいい猫の写真は、ひかりちゃん提供。

 思ひ出は学舎の端の早春賦

20110206095432

目は読む

 

 春立つやモーツァルトも華やげり

先週、新聞を読んでいたら、
俳人の山口優夢さんについての記事が出ていました。
「優夢」と書いて、ゆうむ。
二十五歳の大学院生で、
第五十六回角川俳句賞を受賞されたそうです。
それを読んでいて、ハッとしました。
時間にして0.1秒もなかったかもしれません。
ほんの一瞬です。

IMG

「恩知らずのすすめ」というふうに勝手に読んでしまい、
あわててそんなことはないだろうと、
わたしが考える前に脳が判断したらしく、
改めてよく見ると、
たしかにそんなことはないのでした。
そりゃそうだよな。
世話になっているのに、恩知らずなんて…。
ああ、ビックリした。

 春眠や妖し妖しのまどろみぬ

110205_1611~01

春よ来い!

 

 春立つと一枚脱いでまた着込み

♪ は~るよ 来い
って大声で歌ったら、
ハルという名のおばさんが慌てて走ってきたという
ギャグがありましたが、
それはそれとして、
きのうは節分、今日は立春。
なんだかうきうきします。
「水温む」とか「山笑ふ」とか、
春には好きなうれしい季語がいっぱいあります。
「山笑ふ」なんて、
字を見ているだけで、
山が笑っているようです。

 立春や「北国の春」祖母まろし

110203_0150~01

なんだこれ?

 

 ホッカイロ貼って後ろを確認す

まずこれをごらんください。
IMG_0007

って、
小さくて分かりませんね。
これは、ヴィクトル・ユーゴー作『レ・ミゼラブル』
岩波文庫版第3巻448ページです。
朝の楽しみとして読んでいるのですが、
「ん!」と思って、眼を凝らしてよく見てみました。
その箇所を拡大したのがこれです。

IMG

活版印刷の名残りをとどめるものとして、
おもしろく感じました。
こんな小さな文字も、
ちょっと前までは文選工(ぶんせんこう)と呼ばれる職人さんたちが一つ一つ
活字を拾って木の箱に並べていたのかと思うと、
感慨一入(ひとしお)です。

 コーヒーのカップ手挟み暖を取る

これなんだ?

 

 電車内マスクマスクに追い遣られ

すてきな、かわいい友達からメールが届きました。
「これなんだ」
写真が添付されていました。
碁盤に白と黒の碁石が並べられています。
あ! と、ひらめき、
さっそくメールを返信。
間もなく「大正解!」のメール。
よもやま日記で紹介していい? と訊いたら、
どうぞ、ということなので、
今日の写真はそれにします。
さて、
これなんだ?

 どどどどど背面襲ふ人の列

110201_2024~0100010001