「ごしゃぐ」について

 

これまた今回の帰省の際、耳にのこったことばに「ごしゃぐ」があります。
母が朝食後の薬を飲んで、ほどなく、
「あれ! クスリ、飲んだけが?」と口にした。
すかさず父が、
「なだど。いま飲んだねが! えっちに忘れだぢが?!」
ちなみに、
「えっちに」とは「早くも」「もうすでに」
ぐらいの意。
父のことばがけっこうきつく響いたらしく、
母は
「そたにごしゃぐなよ」。
そういう場面で「ごしゃぐ」が使われていた。
意味は「怒る」。
秋田県教育委員会編、無明舎出版刊の『秋田のことば』によると、
「ごしゃぐ」の語源は「後世を焼く」。
後世とは、この世に対しての「あの世」。
ですから「後世を焼く」とは、
自身のあの世の生を焼き滅ぼす、という意味になるでしょうか。
つよく怒ると、あの世の生を失くしてしまうよ、
だから、あんまり怒りなさんな…。
そんなニュアンスの、
怒る行為に対しての戒めを含むことばのようです。
ところで。
ある方から質問されましたので、
注記しておきます。
きのうのブログ中の「尻子玉」は「しりこだま」
と読みます。

 

・鷺ゆく夏母の忘れをごしやぐなよ  野衾