葉っぱかと見れば

 

電車内で文庫本を読むときは、遠近両用メガネでかろうじて読めますが、
それ以外は、
家でも会社でも、メガネをはずし裸眼で文字を追いかけます。
スピードは落ちますが、
その方がストレスが少ない気がして。
が、
ただ一つ裸眼で困るのは、
すぐ目の前の文字は見えるけど、
ちょっと離れたところだと、ぼやぼやにぼやけてしまうこと。
山の上に住んでいるので、
ベランダにいろいろ生き物が来ます。
ところが、
メガネをはずしていることが多いので、訪問者がだれなのか、すぐには分かりません。
ハクビシンには驚いた、
ちょっと前の話になりますけど。
いちばん多いのは、
生き物でなく木の葉ですね。
山の上の、
しかも崖に建つマンションなので、
木々の葉が風に吹かれてベランダによく飛んできます。
おとといの朝だったでしょうか。
本を読んでいたら、
黒いものがよぎった気がし、
あわてて頭の上に乗っけているメガネをずらし、急ぎかけ直した。
やって来たのは葉っぱか
と思ったのですが、
動きがちょっと違う気もした。
ちいさい雀でした。
きょろきょろ、きときと、なんとも忙しそう。
すぐ目の前なのに、
わたしの存在など、眼中にない様子。
と、
すぐに飛び立った。
またメガネを頭のほうへずらし、
爪でしるしを付けたところから読みつづけます。

 

・きときとと雀せはしや夏を連れ  野衾