野にある学術出版社

 

二〇二一年も、いよいよ押し迫ってまいりました。
弊社はただ今、
二十三期目の時を刻んでおります。
廿周年を期して冊子『春風と野』を作りましたが、
その頃から、
野ということを強く意識するようになり、
現在に至っています。
野は、
「の」でも悪くありませんが、
「や」と読み、また、「や」と読んでいただきたいと思います。
野生の「や」、野草の「や」、荒野の「や」、野人の「や」、在野の「や」を願い。
野蛮の「や」、粗野の「や」、野卑の「や」
はいけません。
ひと、もの、ことに対して、
ていねいでありたいと思います。
出版社は、
文字をあつかうことを生業としていますが、
文字に置き換えることのできない音が世界に充ちています。
先月末に刊行された『細野観光』という本に、
細野晴臣の蔵書がずらりと並べられており、
そのなかに、
J・E・ベーレントの『ナーダ・ブラフマー、世界は音』が入っていました。
文字に寄りかかり過ぎず、
世界の音に耳を澄ませたい。

弊社は、明日から明年一月五日まで、冬期休業とさせていただきます。
一月六日から通常営業となります。
よろしくお願い申し上げます。

 

・博労の炉がたりの語の多からず  野衾