ありがたい手紙

 

畏友・高橋大さんから手紙が届きました。
10月に刊行した『対談集 春風問学』に関する感想が認められてありました。
そのなかで高橋さんは、
こんなことを書き留めておられます。
「このごろ、
『おうすいポケット』とシモーヌ・ヴェイユの本とを交互に広げて読み返すのですが、
たとえば「謙虚」ということについて、
それぞれの文脈やニュアンスの違いは無視できないながら、
共にその言葉から読む者の心を深く動かす力が伝わってきます。
その一方、
こういう人たちの言葉は、一生学んでも到達できない高さ、深さにあるな、
という気もいたします。」
「『おうすいポケット』とシモーヌ・ヴェイユの本とを交互に広げて読み返す」
という日々の営みに、
読み巧者・高橋さんの面目躍如たるものがあると感じます。
シモーヌ・ヴェイユの
「労働者たちはパンよりも詩を必要としている」と、
奥邃の
「日用常行」とは、
深い処で閑に響き合っている気が、
わたしもします。
謙虚とはおそらく、畏れ、怖れるこころ。
いろいろなテーマで行ってきた対談を一書にまとめることの意味と意義についても、
高橋さんの感想から、
深く教えられるところがありました。
さらに、
今回も(拙著『文の風景』の読後感をふまえ描いてくださった絵は、
高橋さんの了解を得て、春風新聞28号の表紙に使わせていただきました)
一枚の絵が同封されてあり、
感動しました。
わたしが独り占めするのは、
いかにももったいない気がし、
高橋さんに連絡をとり、了解が得られましたので、
わたしの古いスマホで撮った写真で、
絵のニュアンスまでは伝わらないかもしれませんが、
掲載いたします。

 

・売られ行く馬の無言や冬の朝  野衾