栗拾いも忘れることができません。これもまた、いつものことながら、
だいたい弟と連れ立って。
わたしの家から井内へ下り、集落を過ぎて大台へ向かって歩くと、
わたしの祖父の本家にあたる家の田んぼがありました。
子どものころ、
本家の田仕事を手伝いにわたしの家族も出かけました。
田んぼの一角に、
こんもり小高い丘というか、森があり、
そこに大きな栗の木がありました。
横に小屋があったような気もしますが、それは、わたしの記憶がつくり上げた
架空の小屋かもしれません。
小屋はともかく、栗の木はたしかにそこにあって、
わたしと弟は、そこでよく栗拾いをしました。
かなり大量に拾えたはずです。
毬(いが)がひらいて、中の茶色く色づいた栗を拾うのですが、
ズボンのポケットがだんだん膨らんでいきます。
ズボンのポケットでなく、
さいしょから、
拾った栗を容れるための袋を用意していたかもしれません。
とにかく、よーく採れました。
なかにはまだ毬がひらいていないものもあり、
そうすると、もし、鎌を持っていれば、
両足の靴の間に毬をはさみ、
鎌のミネで地面につよく押し付けるようにすると、毬がパカッとひらく。
まだ白っぽい栗もある。
その光るようなみずみずしさ!
鎌を持っていないときのほうが多かったけれど、
鎌の代わりに、適当な棒っ切れだったり、
道具を使わずに、
靴のへりを上手につかってひらくこともできた。
ググッ、ググッ。
ちょっとしたところに、
いろんなコツがありました。
*
弊社は、明日(土)から5月6日(火)までGW休業とさせていただきます。
5月7日(水)より通常営業となります。
よろしくお願い申し上げます。
・連山は刷毛ひと撫での朧かな 野衾