さまざまのこと 3

 

小学生のときに、同じクラスにSさんという、運動の得意な女子がいました。
教室ではふつう、とくに目立っていた印象はありませんが、
体育館、運動場においてとなると、逆に、
目立たないことがなかった。
クラスの花形。
それぐらい、Sさんの運動能力は高かったと思います。
忘れられないのは、ドッジボール。
だいたいさいごまで四角の枠のなかに残っていた気がします。
それと、あ!
これはさすがに避けられないだろうと思われる、
速いボールがSさん目がけて投げられると、
Sさん、
からだを「く」の字に折り曲げ、からだ全体でボールを受けとめます。おみごと!
すごいなぁ。脚も速かった。
あれは、高学年になってからだったと記憶していますが、
100メートル走のタイムを計る機会がありました。
女子で16秒を切ったのは、Sさんだけ。15秒7だったと思います。
運動場や体育館のSさんのすがたは、
まさにキラキラ輝いていて、
すぐそばでオリンピックのアスリートを見る(見たことないけど)
ようなものでした。
Sさんが歌もうまいと知ったのは、
それからずっと後のことです。

 

・山彦を海まで招く新樹光  野衾