納骨式

 

ことし1月22日に他界した母の納骨式のため、秋田に帰省しました。
あいだが空いたのは、冬が終り、
あたたかくなってからにしようと申し合わせていたためです。
12日の秋田は、最高気温16度で空は晴れわたり、
すがすがしい一日でした。
弟が事前に準備し、お寺さんをよび、くるま三台で墓地へ。
丘の上の墓地は、春の清新な気に満たされ、小さな蛙が畑地をとび跳ねます。
遠くで雉がどくとくの声をひびかせています。
墓石を洗い、石をずらしてお骨を納めます。その間、
おごそかな読経の声。すべてを納めて、
石をもどします。
あらためて花をそなえ線香を立て、ろうそくに灯をともします。
一同合掌。
お寺さんを見おくり、
墓の周りをととのえ帰路につきます。
弟がぽつり、
「かあさんはここにはいないよ」
弟の発したひと言は、わたしの気持ちでもありました。
横浜に帰ってき、
部屋に置いてある母の小さな写真に向かい、
「かあさん、いま帰ったよ」といえば、
母は、いつものごとく両手をあげ、「ああ、帰ってきたが」
と迎えてくれます。

 

・日を浴びて風と菜花のつづくかな  野衾