さまざまのこと 5

 

ふるさと秋田のわたしの実家がある場所は仲台(なかだい)といいます。
徒歩でかよった小学校までは3キロほどあったでしょうか。六年間、
一日も休まずよくかよったものだと今にして思います。
体調が悪い日もあったはずなのに、親も祖父母も、休ませてくれませんでしたし、
わたしも、どんなことがあっても学校には行くもの、
ということが、いつの間にか、
刷り込まれていたと思います。
仲台から小学校までは3キロほどですが、
町(当時は村)の一番奥に、大台(おおだい)という集落がありまして、
大台から小学校までは、5~6キロはあるでしょうか。
当時は、みんな歩いて学校にかよっていましたから、
大台の子供たちは、
往復だと、10キロを超える距離を連日歩いていたことになります。
そのことの成果というか効果というか、が如実に表れるのは運動会でした。
長距離走の上位を占めるのは、
ほとんどが大台の子供たちでした。そりゃそうだろう、
と思いましたね。
とくにそのための運動をしなくても、まいにち学校へかようことが、
そのまま長距離走の練習になっているわけですから。
仲台の子が、大台の子に敵うわけがありません。
月のはじめに発行される町の広報誌がありまして、
わたしはパソコンで読むのを毎月たのしみにしていますが、
その担当の方が大台在住であることを編集後記に記していました。
なつかしくなって、
大台の子供たちのことを思い出しました。

 

・花曇り耳目の奥にある故郷  野衾