さまざまのこと 1

 

ふるさとは思い出にみちていて、こんかいの帰省でも、道を歩いていると、
いろいろなことが思いだされてきます。
秋田の桜はこれから満開を迎えるようです。

 

さまざまの事思ひ出す桜かな  松尾芭蕉

 

Yくんとのこともそのひとつ。
中学一年の冬だったと記憶しています。
試験の前日、一夜づけの勉強で寝不足をし、翌朝、自転車で学校に急ぎました。
学校に着くことは着いたのですが、
寝不足に加え、寒いなかを自転車を激しくこいだせいか、
着いて早々、靴置き場のところでフラフラとなり、
床にくずおれてしまいました。
と、
うしろから声をかけられた。
ふり向くと、Yくん。
二言三言ことばを交わしたと思いますが、おぼえていません。
Yくんはわたしを抱え(あるいは背負って)保健室まで連れていってくれた。
保健室の先生に事情を話し、ベッドに横になり、
しばらく休ませてもらいました。
Yくんに、もうだいじょうぶだからと告げ、Yくんは教室へ。
10分ほど横になっていたでしょうか、
息もととのい、
めまいも落ち着いたようですから、
そのことを先生に話し、荷物をもって教室へ向かいました。
試験はすでに始まっていましたが、
それほど遅れずに臨むことができたのは、
Yくんのおかげです。
何年かぶりで八月に同期会があるそうですから、
Yくんが参加したら、きいてみようかな。
忘れているかな。

 

・千年の記憶を今を新樹光  野衾