あます

 

方言について何度かこの欄に書いてきましたが、
ふるさと秋田に限っても、
その使用範囲は、
どうやら、
現在の行政区分とは必ずしも一致しないようです。
ことばの流れは、たとえていえば、雲の流れのようなものでしょうから、
県境を楽々飛び越えてしまうのかもしれません。
さて、今回は「あます」
わたしの田舎(これまた微妙で、町全体でそうかといえば、おそらく違うでしょう)
では、
嘔吐することを「あます」という。
念のため、
愛知県出身の家人に確認したところ、
嘔吐の意味で「あます」とは言わないとのこと。
現在「もてあます」という形で残っており、
もともと「余らせる」「取り残す」ということだったようですから、
嘔吐の意味からいって、
消化しきれなかった状態のものを吐き出す行為としては、
そういう使い方があってもおかしくない
とは思います。
ちなみに、
根本俊夫さんからご恵贈いただいた『秋田の湯沢・雄勝弁あれこれ』には、
嘔吐の意味の「あます」が載っています。
同じ意味で「あげる」があり、
これも『秋田の湯沢~』に掲載されています。

 

・ゆふだちに腿もあらはの宿りかな  野衾