フーコーの本気度

 

ミシェル・フーコーの『性の歴史』の最終四巻目『肉の告白』が、
フーコー没後三十数年を経てフランスで刊行され、
その日本語訳が昨年暮れに出版されました。
この機にあたり、
ⅠからⅢを通して読み、
最新刊の四巻目を期待を込めて読みはじめたところ、
まだ途中ですが、
期待以上に引き込まれました。
フーコーがいかに深く聖書を読み込んでいたか
を思い知らされ、
また一哲学学徒として、
身一つで二千年のキリスト教史に切り結んでいこうとする気概を感じます。
ヨーロッパに生を受けた人間として、
他人事でなく、
キリスト教を無視するわけにはいかなかったのでしょう。
アウグスティヌスへの言及が極めて多いことからもそれが分かる
気がします。
慎改康之さん訳の読みやすい日本語のおかげもあり、
フーコーの肉声が聴こえてくるようで。
この一冊により、
フーコーに対する見方が変りました。

 

・夏草や下に蠢くもののあり  野衾