赤ちゃんの気持ち

 

本を読んでいて、ふと、あれ、いま何て書いてあった?
となり、
あわてて前の行、
さらに前まで戻ることがたまにあり、
むずかしい本を読んでいる時になるのかといえば、
そういうわけでもなく、
なのに、
なんども同じ行を読み返し、読み返し、
しているうちに、
なんとなく、
ふわふわしてきて、
ちょっと風邪のひき始めような体のざわつきを感じ、
ちょっぴり気分が悪くなり、
泣きたいような気持ちでもありまして、
仕方がないから目を瞑る。
ちょっと落ち着く。
いいや、
このままで。
まなうらに先ほどの文字列が浮かび、弾け、
やがて消え。
空には雲がぽっかりで。
かと思えば、
ヘビだったり。
ゴミ出しの日ではない。
けむりがもくもく、踏切の焼き鳥屋、きのうは休み。
アイスが食べたいな。
と。
あ。
い。
眠った!
寝ていたのか。
どうりで。
しゃっきりした。
六十年以上さかのぼり、物心がつく前、文字はもちろん読めないけれど、
おんなじような気持ちになって泣いていた、
気がします。
赤ちゃんが泣くのはいろいろ
だろうけれど、
眠たい時にも泣くから、
それを追体験したような具合。
へんな感じ。

 

・梅雨晴れ間遮断機横の焼き鳥屋  野衾