カップル

 

・切なりし恋も怒りも四月馬鹿

おととい五七年生まれを含む知人たちと飲んだせいか、
きのうは仕事帰り相当疲れておりました。
同じ五七年生まれでも、
彼は昭和五七年生まれだし、
わたしは一九五七生まれ、
四半世紀の時間の差は大きい。
横浜駅での乗り換えの際、
エスカレーターを降り、
複雑に流れる人ごみをかいくぐりかいくぐり
前方目指して進んでいたら、
前を恋人同士でもあるのか、
若いカップルが歩いていました。
後ろから見ただけですが、
身に着けているものから判断し、そうだったでしょう。
ぴったり身を寄り添わせ歩いていた。
右が男性、左が女性。
サファリルックの男性は、
左腕を彼女の腰に当てているのですが、
彼女の腰を包むようではない。
なぜならば、
彼女の後姿というものは、
フナッシーそっくりだから。
胴回りは優に一メートルは超えている。
色は違えど体の輪郭たるやまさにフナッシー!
サファリルックがフナッシー似の彼女の耳元でなにやら囁いたらしい。
さらに、
フナッシーの腰に当てていた左腕をほどき、
左肘でフナッシーのわき腹辺りを
クイッとやった。
フナッシーびくともせず。
と、
今度はフナッシーが右肘でクイッとやった。
ら、
サファリルック、吹っ飛んだ。
吹っ飛んだ、は大げさか。
飛んだ。
その光景を目の当たりにし、
わたしの疲れはこれは吹っ飛んだ。

・骸骨や夢まぼろしの四月馬鹿  野衾