半ズボン

・半ズボン呆けてゐたり雲の峰

とんと穿かなくなりました。
子どもの頃は、
よく穿いていました。
海水浴。出戸浜。ビーチボール。迷子。
そんな連想と共に半ズボンはあります。
叔父さんに連れられて行ったのに、
置いてきぼりを食い、
浜辺をさまよっていた。
そこで待っていなさい
と言われただけかもしれないけれど、
そうとうながく感じた。
三十分、一時間、それ以上。
分かりません。
忘れてしまいました。
写真があったはずですが。
なぜ弟が写っていないのか不思議です。
いずれにしても、
砂の熱さと
意地悪な眩しさが体に染み付きました。

・手を挙げて麦藁帽子脱ぎにけり  野衾