行為と運命

 

・霧深し瞋りも慾も霧の中

朝読んでいる山際素男編訳『マハーバーラタ』が
ようやく八巻目に入りました。
少々息切れしてきました。
五巻目まで闘いのシーンが多いなあと思っていましたが、
後半に入り、
今度は道徳の話がやたらに多い。
でも、
わたしは道徳の話が嫌いではありませんし、
子どものころ、
道徳の授業はむしろ好きでした。
いま思うに、
ほかの授業と違っておぼえることが何もなく、
机に頬杖ついて
先生の話を黙って聞いていればよかったからかなとも思います。
それはともかく、
『マハーバーラタ』ですが、
八巻目にこんな問答が出てきます。
人の行為と運命ではどちらが有力かと。
問うたのはユディシュティラ。
それに応えてビーシュマは、
昔、聖仙ヴァシシュタとブラフマー神との間で交わされた
問答を引き合いに出します。
「現世で積み重ねたカルマと、
前世で得た運命というものとは、
どちらが人の人生を形作る上でより有力か」
との聖仙ヴァシシュタの問いに、
ブラフマー神いわく、
「己れ自身の行為は土のようなものであり、運命は種子に比せられる。
土と種子とが一緒になって収穫が生れるのだ。」
神様がおっしゃるのだから、きっとそうなのでしょう。
耳の中では、スティーヴィー・ワンダーの、
JOURNEY THROUGH THE SECRET LIFE OF PLANTS が鳴っています。
八巻目は短い物語がいろいろ収められていて楽しめそうです。

・三毒の瞋恚咬み咬みかたつむり  野衾