踏絵

 

・春の雨受けて華やぐ傘の色

映画作家の大嶋拓さんが拙著『石巻片影』
自身のブログに取り上げてくださった。
大嶋さんは、
この本が東日本大震災に向き合うための
いわば「踏絵」であったと記している。
踏絵とは?
わたしがへたな要約をするよりも、
ぜひ元文についていただきたい。
コチラです)
大嶋さんの文章を何度か読んでいるうちに、
学生のころ、
マルクスの『資本論』を読んでいたことを思い出した。
わたしのアパートに経済学部の学生が3人、
(4人だったかもしれない)
オルグと称して押しかけてきた。
マルクスがどうの、
レーニンがどうの、
今の時代がどうの、
学生のあるべき行動はどうの、
行き着くところ、
ある学生集団への勧誘だった。
話しているうちに、
彼らが『資本論』をまともに読んでいないことに気づいた。
寮の先輩の勧誘を断り切れずに、
そのような活動をしていることが見えてきた。
わたしが彼らの誘いを断ったのは言うまでもない。
最初から寮の先輩の話をしてくれたら、
むしろ心を動かされたかもしれない。
わたしは、
これが正しい行いだとして
特定の行動を強制するのも、されるのも嫌いだ。
そこにウソが入っていたらなおさら。
納得すれば、強制力を働かさなくても動くのが人間だと思っている。
個性は文字どおり一人ひとり違っている。
…………
大嶋さんが、
自己防衛のために震災関連の情報を遮断してきたのに、
拙著のページをゆっくりゆっくり
めくってくださったことがありがたく、
文末の
「私もやっと、あの震災を現実と認識し、
そこから一歩を踏み出す決心がついた気がする」
には手を合わせたくなった。

・笹舟の浮かぶ瀬もあろ春の風  野衾

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三浦衛(みうら・まもる) 春風社代表にして自慢大王&悪ノリ大王。体調のいいときは自らを天才と称し、不調の折はちりあくたにも劣るヤツとしょんぼり。

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三浦衛の本


『カメレオン』
 三人ときどき声にならぬ声を洩らし/とろけ とろけ 唾までとばし/クヂるとナメるとネヂるとチョす…(「鳶」) 自在に色を変え、不意に突き刺さる、軽妙なことばの戯れ。秋田方言満載の詩集。本文は金属活字による活版印刷。


『マハーヴァギナまたは巫山の夢』
 三平佐世夫は、千一夜の夢うつつで女と戯れ、印度に旅し、睾丸を抜かれ、鰐を飼い、横浜を彷徨う。言語の崖っぷちを綱渡りする、めくるめく冒険。本文活版印刷に美麗造本を施した平成の大奇書。


『父のふるさと』
 父の目に映じた故郷の風土、ひと、くらし、農事を、愛惜をこめ描きだす。本文は金属活字による活版印刷。「身と蓋函」に納める。


『出版は風まかせ』
 横浜の出版社「春風社」社長が本づくりと会社経営にまつわるエピソードを豊富におりまぜ、創業から10年を振り返る。