白い紙
秋抜けし背骨の揺れの軽きかな
このごろ、ことばについて思うことがありまして。それは、ことばの周辺、あるいは隣り、とでも言えばいいでしょうか。
ことばにならないことがあるとか、行間を読むなどということも言われますから、ことばがすべてではないということなのでしょう。しかし、それも、ことばにするから、ことばだけではないよと気づくのかもしれません。
白い紙が目の前にあります。これに、ペンで点を付したとします。その点をじっと見ていると、点の周辺が少し暗く見えます。点の影のようです。ことばと、ことばにならない時間と空間の関係もこれに似ているような気がします。図と地。ことばがなければただの白い紙ですが、ことばが傍にあることで、陰影をもち、独特のニュアンスがそこに醸し出されてくるように思います。