夏井いつきさんの『絶滅寸前季語辞典』(ちくま文庫)を読んでいましたら、
ご本人のこんな句が紹介されていました。
龍を呼ぶための鬼灯鳴らしけり
鬼灯は、ほおずき。龍は想像上の生き物ですが、
それがかえっておもしろく感じます。
ふつうに笛や太鼓を鳴らしても現れなさそうな龍を、
鬼灯の実の中身をくりぬいてつくった小さな風船状のものをぶーぶー鳴らしたら、
もしかしたら龍が姿を現すかもしれない。
ことし一月に他界した母は、
鬼灯の実からつくった笛を鳴らすのがじょうずでした。
ふと見れば、ひとりでぶーぶー鳴らしていました。
かあさん、それなに? ん。ほずげの笛…
いつおぼえたのだったろうか。
少女時代の母をかってに想像してみる。
まさか龍を呼ぶために鳴らしていたのではないとおもうけど。
・稲刈りや山の裏から音すなり 野衾

