三波春夫の歌を聴き、いいなぁとおもうようになったのは、
五十歳をとっくに過ぎてからでした。
オーディオのプリアンプを買い替えるとき、
そのころよく聴いていたサム・クックのCDを秋葉原にあるオーディオ・ショップに
持参し、いくつか聴き比べをして購入したのですが、
決め手は、そのアンプに換えたとき、
サム・クックの声が、まるでシャワーのように感じられたことでした。
気持ちいいなぁ。
三波春夫の声も、それに近いところがあるとおもいます。
とくに「船方さんよ」。
♪おーい船方さん 船方さんよ
で始まりますが、
「おーい」の「お」が、出だしの音をちょっと食うように感じられます。
一番、二番、三番の歌の出だしはどれも
「おーい船方さん 船方さんよ」。
それがなんとも遠くからの呼び声であるとイメージされる。
明るく広く、元気で、のびやかな世界観。
それが三波春夫の声にあらわれている気がします。
・秋めくや湖畔艶やか乙女像 野衾

