中村元(なかむら はじめ)さんの『ブッダ入門』は、
講演がもとになっていますので、とても読みやすく、
ブッダさんの生涯はもとより、
ブッダさんが生きた時代とその周辺のことが見えてきてたのしい。
やはり世界史はグローバルに見る必要があるのではないでしょうか。
日本の学界は今でも日本史、東洋史、西洋史などと分けてやっていますが、
別々に見たら、暗記するのには便利かもしれませんが、
やはり人類の動きを知るには広く見ることが必要だと思います。
タコツボ型というのは困ったものです。
私が中学生の頃にも、
西洋史、東洋史、日本史と分かれていました。
ただ中学のときの先生が当時としては考え方の進んだ方で、
中世以後は世界史として教えていました。
それは見方を非常に広くしてくださったという点で感謝しています。
今でもだめなのが大学です。
さかいの堀を深く掘って、寄らば斬るぞという、
中世さながらです。
まず大学自体が学問的に改革されなければいけません。
すでにこんな古い時代に、
インドの象軍の存在がグローバルな波及効果をもっていたのです。
(中村元[著]『ブッダ入門』春秋社、2011年新装版、pp.101-102)
引用した箇所のまえに、アレキサンダーさんがでてきます。
インドの象軍に、
マケドニアの軍隊がすっかり面食らったことが書かれていて、
そのインパクトと象軍がやがて
ヨーロッパにまで及んでいくあたりの記述は、
中村元先生の面目躍如であると思います。
・見渡せばふるさとの山霞みをり 野衾