日曜日の朝、テレビをつけたら、なつかしい秋田のことばが聴こえてきました。
「んだしな」「たべでみれ」…
ほんのちょっと聴くだけで、秋田が胸にひろがります。
高橋朝子さんという、笑顔がすてきな81歳のおばあちゃん。
大根を種から育てて収穫し、
家庭に伝わる味をたいせつにして漬け込むのだとか。
「おいしいから譲って欲しい」と言われたのがきっかけで、
60歳のころから販売を始めたそうです。
高橋さんのいぶりがっこづくりの作業には、
高所に上がって板上を歩きながらの大根をつるす仕事も欠かせません。
見ていて危ない感じもしました。
しかし、天候に左右されながらも、いろいろ工夫し、
満足のいくいぶりがっこができたときの高橋さんの満足そうな笑顔を見ると、
危険だから、たいへんだから、年齢からいっても、
そろそろやめた方がいいのでは、
(番組を見ていて、そういう印象をもった瞬間がありました)
の考えは不遜である気がしてきました。
番組をさいごまで見、
「生きがい」ということばが思いうかびました。
わかいときは、
たのしいことがいろいろあるけど、
年を取り、からだも頭脳も衰えてくると、たのしいことが減ってきます。
そのとき、生きがいとよべるものがあれば、
それが人を生かすのかな
とも思います。
一日でも長く生きていてほしいというのは、
身内の者の偽らざる気持ちだけれど、
生きがいを奪ってしまうようなことは、ゆめゆめつつしまなければなりません。
むしろ、サポートするのが孝行のような気がします。
高橋さんがつくったいぶりがっこを食べてみたくなりました。
・道端に馬糞転がる春隣 野衾