高齢の両親のご機嫌伺いに、週に三度、電話をかけるようにしています。
だいたいは齢93になる父が電話に出ることが多い
けれど、
父が用事で家の外にいるときなど、
ごくたまに、母が出ることもある。はぁはぁ、言っている。
母だけに。
ダジャレかよ。
歩けない母は、移動はもっぱらお尻でズリズリズリと。
電話が鳴って出ようとしても、
すぐには出られず、
いっしょーけんめー、ズリズリズリズリ。
なので、
はぁはぁはぁはぁ。
閑話休題。
せんだって、
こんなことがありました。
朝、
もう少ししたら電話をかけようかな、と思っていた矢先に、
わたしのスマホが鳴った。
登録していない番号が表示され、
恐る恐る出たら、父より九つ下の叔父でした。
聞けば、
稲刈りの後片づけのため、父の作業場に来ていたところ、
家から慌てふためいた父が出てきて、
「電話がぶっこわれだ!!」
きょうはマモル(わたしのこと)から電話がかかってくる日だけど、
電話がつながらず、不審に思うだろう。
すまないが、
お前のスマホからマモルに電話をかげてくれんか云々。
叔父に確かめたところ、
電話機が壊れたというけれど、
ほんとうのところは、
子機に電源が入っている状態のため、
親機に「子機使用中」と表示され、
親機が使用不可になってしまったらしい。
要するに、
電源の入った子機の置き場所を忘れてしまったようなのだ。
おそらく、
父は混乱の極に達しただろう。
薄くなった頭髪が、ハリネズミの毛のように逆立ったに違いない。
父より26も下のわたしもそうなることがあるから、
よーーっく、
わかる。
そういえば、
まえに勤めていた出版社の社長に、
「おまえは、たま~に、かたまる時があるな」
と、
たしなめられたことがあったっけ。
さて父の電話の件だが、
業者を呼び、親機を使えるようにしてもらって父は一安心。
子機は未だ見つからず。
・そちこちの秋を集めて最上川 野衾