これぞまさに

 

赤瀬川原平が唱えたもので、
同名の本のタイトルにもなったことばに「老人力」があります。
物を忘れるという、
ふつうならマイナスにとらえられがちな現象に
積極的な価値を見出し付された名称で、
このごろそれが、
わたしにもかなり身についてきたようでありまして。
年に一度、
出身高校から同窓会誌が送られてきます。
楽しみなのがエッセーのコーナー。
存じ上げないひとばかりですが、
齢は違えど、
同じ高校で三年間過ごしたひとがこういう人生を送っているのかと思うと、
不思議な感慨にとらえられます。
先だって送られてきた今年の会誌に
卒業生数名のエッセーが載っていました。
その筆頭がFさん。
タイトル「子どもへの眼差し」
中央アジアのカザフスタンを訪れた際のエピソードが
印象深く綴られていました。
顔写真を見て、あれ?
なんか、見たことある気がするなぁ。
それに、
Fさんの名前。
お会いしたことがあるような、ないような。
そんな感じでありましたが、
会社に同窓会誌を持っていき、
編集長に見せたところ、
うちから共著を二冊出している方で、
わたしもいっしょに会食(!)し、
その際、
秋田の話でしばし盛り上がったのだとか…。
すっかり忘れていました。
ふむ。
これぞまさに老人力!
その後Fさんに電話し、老人力には触れずに、
同窓会誌に掲載されたエッセーの感想を述べつつ、
近況を伺いました。

 

・紫陽花や海にあくがる土の声  野衾