悪い句の見本

 

藤田湘子の『新版 20週俳句入門』を読んでいましたら、
以下のような内容を盛り込もうとすると
まちがいなく失敗する、
どころか、
俳句の体をなさなくなるとしています。
それは、
・道徳観、倫理観、教訓。
・理屈、分別臭。
・風流ぶり、気どり、低劣な擬人法。
・俗悪な浪花節的人情。

その悪い見本としてこんな句があげられています。

×蟬鳴くやこの世に命ある限り
×風化せぬ悲しみあらた終戦日
×蓑虫に似たるさだめか母老いぬ
×毛糸編夕日をひそと編みこめぬ
×薔薇咲いて恥ぢらひ我に教へけり
×小さき庭小さい秋の風生まる

藤田湘子は、
これらの句を俗悪であるとして手厳しく批判し
しりぞけています。
そういう句を新聞の投稿欄などで目にすることがありますが、
わらって他人事ですますわけにはいきません。
作句しているときに
ふとあたまに浮かぶこと間々あり。
自戒しなければ。

 

・かなかなや社のうしろとつぷりと  野衾